CGL通信 vol25 「GIT2014参加報告」

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CGL通信 vol25 「GIT2014参加報告」

リサーチルーム 江森健太郎

2014年12月8日~9日の2日間、GIT2014 The 4th International Gem and Jewelry Conference(国際宝石・宝飾品学会)がタイのチェンマイで行われました。また、前3日~7日までの5日間Pre-Conference Excursion(会議前の原産地視察)としてミャンマーのモーゴックの鉱山視察、後10日~12日の3日間Post-Conference Excursion(会議後の原産地視察)としてタイのPhrae(フィラエ)の鉱山視察が行われました。本会議には当研究所から5名が参加し、3名が口頭発表を行いました。以下に概要をご報告致します。

GIT2014とは・・・

International Gem and Jewelry Conference(国際宝石・宝飾品学会)はGIT(The Gem and Jewelry Institute of Thailand)が主催する国際的に有数の宝飾関連学会の一つです。第1回目は2006年、第2回目は2009年、第3回目は2012年、そして今回は2014年12月に第4回目としてGIT2014が開催されました。
GITはLMHC(ラボマニュアル調整委員会)にも属する国際的に著名な宝石検査機関であり、CGLと科学技術に関する基本合意を締結し、密接な技術交流を行っています。本学会はGITが主催していますが、タイの商務省等が後援しており国を挙げての国際会議といえます。本会議運営のため15ヵ国31名の国際技術委員会が結成され、CGLの堀川もその一役を担いました。

本会議

本会議はチェンマイ市内のHoliday Inn Chiang Maiが会場となり、世界25ヵ国から250名を超える参加者が集いました。
6件の基調講演の他、一般講演は

「Innovative Identification and Characterization – Manufacturing and Cutting Edge Technology
(革新的な鑑別及び特徴 ― 製造と最先端の技術)」
「Gem and Precious Metal Deposits, Exploration and Mining(宝石、貴金属の産地、探査および採掘)」
「Treatment and Synthetic: Update and Disclosure(処理と合成:アップデートと開示)」
「Miscellaneous(その他)」
「Closing Highlights(閉会前のハイライト)」

の5つのセッションで構成されており、2つの会場に分かれて同時進行しました。
口頭発表は34件、ポスター発表は38件のエントリーがありました。

当研究所からは技術顧問の赤松が「Miscellaneous」のセッションで
「About Bead Nucleus Used for Pearl Culturing(真珠養殖に使用されるビード核について)」、

北脇が
「Innovative Identification and Characterization – Manufacturing and Cutting Edge Technology」のセッションで
「Peculiar Natural Type II Diamonds Showing Pseudo-Synthetic Characteristics(偽合成の特徴を示す特異な天然II型ダイヤモンド)」、

江森が同セッションで
「Geographic Origin Determination of Ruby and Blue Sapphire: an Application of LA-ICP-MS(ルビー、ブルーサファイアの原産地鑑別:LA-ICP-MS分析の応用)」

という題でそれぞれ口頭発表を行いました。
また堀川は「Treatment and Synthetic: Update and Disclosure」のセッションで座長を務めました。

 

Holiday Inn Chiang Mai
本会議のメイン会場となったHoliday Inn Chiang Mai

 

ポスター発表
会場に張り出された38件のポスター発表。口頭発表の合間には熱心な研究者が著者に質問を投げかける

 

「Treatment and Synthetic: Update and Disclosure(処理と合成:アップデートと開示)」セッションで座長を務める堀川所員
「Treatment and Synthetic: Update and Disclosure (処理と合成:アップデートと開示)」セッションで座長を務める堀川所員

 

GIT2014-Post Excursion報告

GIT2014 Conferenceの翌日より三日間(12/10~12/12)の日程でPost Excursionが行われ、CGLより堀川と江森が参加しました。

1.Thai Elephant Conservation Center (TECC)

12月10日、GIT2014の開催地であるChiang Mai をバスで出発し、初めの目的地である Thai Elephant Conservation Center (TECC)に訪れました。全世界から象使いの資格を取るための養成に来ている人たちを使い、政府によって経営されている象の保護施設であり、象の病院も併設されています。ここでは、象乗り体験、ショー等が行われています。今回のGIT2014のロゴマークは象が描いたものです。ショーで実際に象が絵を描くところを観ることができました。

 

象が描いたGIT2014のロゴマーク
象が描いたGIT2014のロゴマーク

 

象が絵を描いているところ
象が絵を描いているところ

 

2.Baan Wong Buri (Wong Buri Old House)

次にBaan Wong Buriに向かいました。ここは、かつてPhraeを統治していた王族の邸宅で、現在は博物館として公開されています。Phraeはチーク材の売買で財を築いた街で、現在も街のいたるところに、チーク材を利用した家が残っています。その中で一番有名なものがBann Wong Buriだということです。館内は20世紀初頭の写真や手紙、アンティークコレクションが並んでおり、当時を偲ばせる記念物として親しまれています。

 

Baan Wong Buriの外観
Baan Wong Buriの外観

 

Baan Wong Buriの中の様子
Baan Wong Buriの中の様子。アンティークコレクションが並んでいる

 

3.Wat Phra that Cho Hae (The Royal Temple)

12月10日最後の目的地は、Wat Phra that Cho Haeです。Wat Phra that Cho Haeは仏舎利を祭る仏教寺院で、寅年生まれの人が巡礼すべき仏塔とされており、900年以上の歴史があるといわれている仏像やSiwichai僧の遺骨が納めらています。

 

寺院の外観
寺院の外観

 

寺院
寺院

 

4.Phrae地区のサファイア鉱区

12月11日、タイのPhrae地区のサファイア鉱区へ向かいました。バンコクから北におよそ500kmにPhrae地区のサファイア鉱区があります。この地は1920年代に発見されていましたが、実際に採掘されるようになったのは1970年代に入ってからです。この地のサファイアは濃色のブルーで小粒のものが多いとされています。

○Mon Hin Lae Pee

柱状節理の玄武岩の露頭に、スピネルを発見することができました。柱状節理とは、岩体に発達した規則性のある柱状の割れ目で両側にずれがないもののことを言い、マグマの冷却面と垂直に発達します。

 

柱状節理の露頭の様子
柱状節理の露頭の様子

 

スピネル
スピネル

 

○Gems by waterfall

Mon Hin Lae Peeから6.5kmほど離れた場所に滝があります。この滝には3つの玄武岩層が露出しており、最下層に雨季に降った雨水で削られ、流された宝石が運ばれてきます。川の下にたまった砂利から宝石を探します。

 

岩を削る滝
岩を削る滝と

 

川

 

○Huai Mae Kanung

Huai Mae Kanungは、その名前が20年程前にサファイアを産出することで知られることになりました。現在はその土地の人々が雨季の最後にパニングを行い、宝石を探しています。

 

Blue Sapphire River
Huai Mae Kanungの様子。Blue Sapphire Riverの看板があるように、半ば観光地化している

 

パンニング
川をせき止め、水をためた池でパニングを行う現地の人々

 

5.Sukhothai Gold Jewelry Shop

タイにおいてゴールドジュエリーの生産はスコータイ王朝時代(1238−1448)からアユタヤ王朝時代(1351−1767)まで続いた伝統的な生産物で、その当時は厳格な規制がしかれていたため、王族や貴族しか身に着けることができませんでした。ラタナコーシン朝の中期より、ヨーロッパや中国から商人が来て、タイで商売をはじめると同時に、外国の金細工職人もタイにワークショップを設立して定住するようになり、より自由にゴールドジュエリーが広く身に着けられるようになりました。スコータイには現在もゴールドジュエリーを加工、生産、販売するショップが数多く存在し、今回のエクスカーションでは、スコータイにある販売店舗と生産工場が一体となっているゴールドジュエリーショップを2箇所見学しました。

 

ゴールドジュエリーの販売風景
ゴールドジュエリーの販売風景

 

加工工場
加工工場

 

6.Si Satchanalai Historical Park

Post Conferenceで最後に訪れたのは「Si Satchanalai Historical Park」です。この歴史公園はSi SatchanalaiとChaliangの遺跡群です。Si Satchanalaiとは「City of good people(善良な民の街)」という意味で、1250年代にスコータイ王朝第2の都市として建造され、13世紀と14世紀には皇太子の住居がありました。

 

Si Satchanalai Historical Park
Si Satchanalai Historical Park

 

Si Satchanalai Historical Park
Si Satchanalai Historical Park

 

おわりに

GIT2014の本会議とPost Excursionに参加、CGLリサーチルームの日ごろの研究成果を発表し、世界各国のジェモロジスト達と意見交換・交流を深めることができ、有意義な時間を過ごすことができました。宝石の研究は一国の一研究室だけで深められるものではなく、世界中の鑑別機関や研究機関で研究するジェモロジスト達との情報交換、意見交換が必要不可欠です。CGLリサーチルームは今後もこのような国際的な学会に出席し、積極的な交流を図っていく予定です。◆