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ご存知でしょうか? 地球上で最も豊富に産出されるダイヤモンドは褐色であることを。カラーレスや最近人気のインテンス・イエロー、ブルー、レッド、ピンク、グリーンなどの“ファンシーカラー”ダイヤモンドと比較すると褐色のダイヤモンドの産出量は圧倒的に多く、これら褐色のダイヤモンドをより価値あるカラーレスやファンシーカラーダイヤモンドに変化させたいという願望は昔から存在していました。
このような理由から、ダイヤモンドの外観を変える方法は昔から多くの方法が提案され、特に放射線処理は一般的に魅力のないカラーから魅力的なカラーのダイヤモンドへと色を変えるのに用いられて来ましたし、コーティング処理は見た目“カラーレス”に変えるのに用いられて来ました。
放射線処理やコーティング処理は、色の変化に関してある程度効果的ですが、従来の宝石学的検査によって簡単に看破可能です。しかし、褐色のダイヤモンドに超高圧下で加熱処理を施しダイヤモンドの色を改良したものが近年現れており、これらの処理ダイヤモンドはそれが処理されていると断定することが従来の鑑別法ではほとんど出来ません。この処理は『高温高圧プロセス』と呼ばれています。

このような原因で褐色となったダイヤモンドをもとあった地下の超高圧高温の環境に戻すことが出来れば、それらのダイヤモンドの色は再び変化しにます。これを、そのダイヤモンドが本来の色に戻ると表現する人もいます。
HPHTプロセスとはこのようにダイヤモンドを超高圧高温下に置く処理です。
ダイヤモンドが生まれた地球深部のような超高圧高温を再現する装置の利用は、1955年にGE社が合成ダイヤモンドの製造に成功したことにより可能になりました。当時、GE社が製造した超高圧発生装置はベルト型プレスと呼ばれ、写真1のような大型の装置です。それ以降、米国ではキュービック型やプリズム型と呼ばれる装置が開発され、ロシアからはバール型と呼ばれる超高圧発生装置が開発されています。
写真1 ベルト型
写真2 キュービック型
写真3 プリズム型
写真:Novadiamond HPより転載
写真4 バール型
写真:Novadiamond HPより転載
ダイヤモンドのタイプは慣例的に以下の4つに分類されています。


4-1 窒素の凝集と分解
窒素を含有するI型ダイヤモンドは、地球の奥深くで100万年から30億年程かかって窒素原子が単独で存在するIb型から窒素が集合したI aA型、I aB型に変化すると云われています。高温高圧プロセスではこの過程とは正反対に集合した窒素を単原子の状態に分解します。このように処理されたダイヤモンドは、ファンシーイエロー系や所謂アップルグリーンと呼ばれるファンシーイエローグリーン系のダイヤモンドに変化します。

4-2 ダイヤモンド中の格子の歪み
ダイヤモンドの褐色味は地球深部で受けた応力で生まれた結晶格子の歪みが原因と云われています。高温高圧プロセスで再度この応力に相当するような圧力をかけることでその歪み(左図)を修正することが可能になり、褐色味を取り除くことになります。その結果、II a型のダイヤモンドは本来のカラーレスへ、II b型のダイヤモンドならブルーへと変化します。
ダイヤモンドのタイプとHPHTプロセスによる色の変化を表したのが以下の図です。

Bellatair社 HPより転載
販売されている色は以下の通りです。
・Colorless(II a型)
・Pink(II a型)
・Intense Yellow〜Greenish Yellow(I a型)
・Blue(II b型)
NovaDiamond社 HPより転載
販売されていた色は以下の通りです。
・Intense Yellow(I a型)
・Yellowish Green〜Greenish Yellow(I a型)
Nouv社 HPより転載
販売されている色は以下の通りです。
・Intense Yellow〜Orangy Yellow(I a型)
・Yellowish Green〜Greenish Yellow(I a型)
鑑別機関での検査法
市場には以上に紹介したHPHTプロセスダイヤモンド以外にも中国やロシアでHPHTプロセスが行われたものも僅かではありますが存在しています。ガードル刻印も削られることもあり、HPHTプロセスであることを開示するガードル刻印がないからと言って安心できるものではありません。
当社ではお預かりした全てのダイヤモンドを自社開発したケープディテクターという装置を通し、合成や処理の可能性のあるダイヤモンドだけを選別し、更に高度な検査を行っています。HPHTプロセスに適したダイヤモンドのタイプは既に説明したようにある範囲に限定されています。ですから、それらのタイプをケープディテクターや赤外分光光度計で測定することによってHPHTプロセスの可能性があるタイプの石かどうかを確実に分類することが出来ます。
高度な検査
現在、HPHTプロセスを看破する手段としてはフォトルミネッセンスの分析が最も有効と言われています。当社では、このフォトルミネッセンスの測定には顕微ラマン分光分析装置(レニショー社製システム1000およびジョバンイボン製ラブラムインフィニティ)を用いて、検査する石をマイナス150℃以下に冷却し測定を行っています。一言にHPHTプロセスと言っても既にご紹介したように多くの会社で行われています。それらは超高圧発生装置の種類も違えば超高圧高温の条件も処理時間もそれぞれに異なり、またこの処理に供せられるダイヤモンドが持つ固有の性質などによりフォトルミネッセンスで得られる特徴も多岐に亘ります。
当社ではこれら様々な特徴に対応するためにフォトルミネッセンス測定に用いるレーザー光線も5種類(325nm、488nm、514nm、532nm、633nm)を用意し、これまで数多くのHPHTプロセスダイヤモンドを検査してまいりました。現在もなおHPHTプロセスを施す前後でのフォトルミネッセンスの変化を調査しております。このように蓄積したデータをもとに、最も確実に天然ダイヤモンドとHPHTプロセスされた石の選別を行っています。
これらのダイヤモンドは、当社の研究のためS社(米国)でHPHTプロセスしたものの一部です。HPHTプロセスする前はFancy Light Brownの石でした。HPHTプロセス後は、左からカラーレス(テーブルしか再研磨していないためカラーグレードの判断は不能)、Light Orangy Pink、Very Light Orangy Pink、Fancy Vivid Yellowに変化しています。
尚、AGLのルールで鑑別書およびグレーディングレポートへの記載法は次のように決められています。HPHTプロセスされたダイヤモンドであると判断された場合には、鑑別書に『色の変化を目的とした高温高圧プロセスが行われています』とその処理法が明記されます。グレーディングレポートには、鑑別書と同様のコメントが『備考欄』に記載されるだけでなく『カラーグレード欄』と並んだ『色の起源(カラーオリジン)欄』に『高温高圧プロセス』と記載されます。
一方、HPHTプロセスだけでなくその他の処理もされていない天然ダイヤモンドについては、グレーディングレポートにおいて『色の起源(カラーオリジン)欄』に『天然(Natural)』と記載されます。
| HPHTプロセスダイヤモンドの表記方法 | |
|---|---|
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鑑別書 鉱物名(Group/Species) 宝石名(Variety) 開示コメント(Comment) |
グレーディングレポート カラーグレード(Color Grade) 色の起源(Color Origin) 備考(Comment) |
| 何も処理されていない天然ダイヤモンドの表記方法 | |
|---|---|
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鑑別書 鉱物名(Group/Species) 宝石名(Variety) 開示コメント(Comment) |
グレーディングレポート カラーグレード(Color Grade) 色の起源(Color Origin) 備考(Comment) |
以上