CGL通信 vol29 「日本鉱物科学会2015年年会・総会参加報告」

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CGL通信 vol29 「日本鉱物科学会2015年年会・総会参加報告」

リサーチ室 江森  健太郎、北脇  裕士

去る9月25日(金)から27(日)までの3日間、東京大学本郷キャンパスにて日本鉱物科学会の2015年年会・総会が行われました。弊社からは2名の技術者が参加し、うち1名が口頭発表を行いました。以下に年会の概要を報告致します。

 

2015年年会・総会の会場となった東京大学(象徴ともいうべき赤門)
2015年年会・総会の会場となった東京大学(象徴ともいうべき赤門)

 

日本鉱物科学会とは

日本鉱物科学会(Japan Association of Mineralogical Sciences)は2007年9月に日本鉱物学会と日本岩石鉱物鉱床学会の2つの学会が統合・合併して発足し、現在は大学の研究者を中心におよそ1000名の会員数を擁しています。日本鉱物科学会は鉱物化学およびこれに関する諸分野の学問と進歩、普及をはかることを目的とし、「出版物の発行(和文誌:岩石鉱物化学、英文誌:Journal of Mineralogical and Petrological Sciences、その他)」、「総会、講演会、研究部会、その他学術に関する集会および行事の開催」「研究の奨励および業績の表彰」を主な事業として活動しています。年会は、設立総会以降毎年行われており、重要な学術交流の場となっています。

 

日本鉱物科学会2015年年会

2015年の年会は東京大学で行われました。2007年に設立総会が開催されて以降、東大では8年ぶりの開催となります。東京大学は江戸幕府の昌平坂学問所や天文方、および種痘所の流れを汲みながらも、欧米諸国の諸制度に倣った、日本国内で初の近代的な大学として設立され国内外から高い評価を受けております。

 

会場となった本郷キャンパス理学部1号館
会場となった本郷キャンパス理学部1号館

 

会場となったのは本郷キャンパスの理学部1号館です。ここには小柴昌俊博士のノーベル賞受賞を記念して2005年に創設された小柴ホールも含まれています。この小柴ホールがメイン会場として使用され、2階~4階までの各教室が講演会、ポスター会場等に使用されました。
会場までの主な交通手段としては、上野駅から徒歩20分、地下鉄大江戸線・丸ノ内線の本郷三丁目駅、南北線の東大前駅の他、上野駅・御茶ノ水等から東大構内行の都営バスがでており、本数もかなりあって便利です。今回の年会では、4件の受賞講演、10のセッションで114件の口頭発表、95件のポスター発表が行われ、参加者は200名弱ありました。
一日目、25日(金)午前9時30分より「結晶構造・結晶科学・物性・結晶成長・応用鉱物」、「地球外物質」、「岩石―水相互作用」のセッションが行われました。別会場でポスターセッションが同時に開催され、12~14時のポスターセッションコアタイムではポスター発表者による説明・質疑応答・議論が活発に行われていました。なお、ポスター発表は学会開催期間3日間を通して行われており、3日間ともコアタイムはたくさんの人でにぎわっていました。

 

コアタイムのポスター発表の様子
コアタイムのポスター発表の様子

 

二日目、26日(土) 8時45分から小柴ホールにおいて日本鉱物科学会の平成27年度総会が行われました。早朝にも関わらず160名以上の会員が集まり、各委員会からの報告や会の運営に関わる議決が行われました。本年度の重要な議決案件として本学会の一般社団法人化問題があり、担当幹事より詳細な説明がなされました。説明と質疑応答を合わせると1時間ほど時間がかけられ、その後の議決の結果、来年度以降法人化を目指すことが承認されました。

引き続き、10時半より鉱物科学会の各賞受賞講演が行われました。平成26年度日本鉱物化学会賞第13回受賞者である京都大学の小畑正明氏、平成26年度日本鉱物科学会研究奨励賞第16回受賞者の東北大学の奥村聡氏、同第17回受賞者の神戸大学の瀬戸雄介氏、同第18回受賞者の九州大学の中野信彦氏の講演がありました。
その他各賞受賞者は以下の通りです。

 

日本鉱物科学会論文賞:田口知樹、榎並正樹
渡邉萬次郎賞:大沼晃助
日本鉱物科学会応用鉱物科学賞:豊田文紫
桜井賞:永嶌真理子

 

日本鉱物科学会 平成27年度受賞講演の様子(小柴ホール)
日本鉱物科学会 平成27年度受賞講演の様子(小柴ホール)

 

また、受賞講演終了後、午後14時より「鉱物記載・分析評価」「深成岩・火山岩及びサブダクションファクトリー」のセッションがあり、「鉱物記載・分析評価」のセッションにおいて弊社研究者が「Ib型CVD合成ダイヤモンドのキャラクタリゼーションと成長後の熱処理温度の推定」の講演を行いました。講演後、質問も寄せられ、鉱物学会会員の方々の宝石学への関心の強さを感じ取ることができました。

三日目、27日(日)は9時30分より「高圧科学・地球深部」「変成岩とテクトニクス」「岩石・鉱物・鉱床一般」「地球表層・環境・生命」「スペシャルセッション火成作用と流体」のセッションがありました。
鉱物学と宝石学は密接な関係があります。毎年開催される鉱物科学会年会に参加し聴講することで、最先端の鉱物学研究に関する知見を得ることができます。また、普段接する機会が少ない研究者の方々との交流を深められ、宝石学の研究に生かすことができます。なお、来年2016年度の鉱物科学会年会は9月23日~9月25日、金沢大学で開催される予定です。◆