Gemmy 130 号 「小売店様向け宝石の知識「カメオ」」

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Gemmy 130 号 「小売店様向け宝石の知識「カメオ」」

カメオ・Cameo

宝石に彫刻したり(Carved)、彫り込みをしたり(Engraved)して楽しむことは古くから行われている。その代表的なタイプは、カメオ、インタリオで、その他にシェベイ、クベット、スカラベなどがある。
カメオはガードルから上の表面をカットしてデザイン全体がガードルエッジの上に出るように彫刻した宝石。通常、濃い色の地に像が白く浮き上がっている。本物の宝石材料(縞めのうが主体・トルマリン・トルコ石も使われる)から作ったものをストーン・カメオという。貝殻から作ったものをシェル・カメオ、さんごから作ったものをコーラル・カメオという。ほかにピンクと白のコントラストをもつコンクシェルカメオも珍重されている。
カメオの語源はラテン語の「浮き彫り」からきていて、カメオの歴史は、6,000年前のメソポタミア文明から始まり、最初は王様の玉印(シグネットリング)や封印(シールリング)にインタリオ(沈み彫り)が使われ、カメオは紀元前400~500年ごろ、ほぼ今のかたちになったと云われる。カメオは古代ローマ時代に大流行し、次いでルネッサンスにブームがあり、今日も伝統ある人気の宝石彫刻。写真が無かった時代、恋人や妻や子供のプロフィールを宝石に彫刻してお守りとしブローチやペンダントとして携行することで大流行した。ナポレオンも愛好者だった。一時は女性よりも男性がお守りとして身につけたといわれる。ドイツのイーダーオーバーシュタインは1450年頃からめのう彫刻の中心地となり、ヨーロッパ全土への供給加工地となった。現在では世界のストーン・カメオの90%近くを生産している。
さて昔カメオはどのようにして作られたのか。カメオの宝石材料はめのうが使われるので、硬度7と硬く金属工具では彫るのは困難である。電気のない時代にはライン川の水車の回転力でサファイア(硬度9)の細粒を埋めた砥石を使って細かく彫刻していた。長い時間と労力のいる仕事でした。したがってストーン・カメオの宝石材料であるめのうを浮き彫りするのは大変な作業で、細密で精巧なデザイン仕上げは至難の業でした。表面がなめらかで、精緻なデザイン仕上げ、作家の感性が輝き、より美しい芸術作品に仕上がったストーン・カメオは、まことに貴重な装身具でした。その一部は現在もアンティ―クとして残っていて珍重されている。一方シェル・カメオはイタリアでルネッサンスの時期に流行し、貝殻は内側が赤やオレンジで、表層が白のヘルメット・シェルを用い、大量に作られるようになった。イタリアのナポリが生産加工地として有名。日本でもシェル・カメオがひところ大流行し、カメオと云えば貝殻の装身具と思っている人も多いようだ。
カメオの価値を決める要素は、[1]彫刻家[2]彫刻技術[3]コントラスト[4]大きさ[5]厚さ[6]色合いなどにあり、このうち最も重要視されるのは彫刻家名である。価値あるカメオには必ず作者名が署名されている。絵画と同じである。
宝石や貝殻の表面に浮き彫りした芸術性溢れる「カメオ」は、さまざまなシーンで貴女を美しく演出する。身に付ける通常の宝石装身具とは一味ちがう深い味わいがあります。
愛する人の思い出に、記念に、おしゃれに、芸術作品「カメオ」を身に付けましょう!

「楽しいジュエリーセールス」
著者 早川 武俊