Gemmy 134 号 「ワールドニュース」

Gemmy


Gemmy 134 号 「ワールドニュース」

「あなたのスタッフは説明できますか?」

新年明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い致します。

現状、日本のマーケット状況は厳しい限りですが、さらに今年は世界のマーケットに影響を与えるかもしれない映画が公開されます。それはレオナルド・ディカプリオ主演の「ブラッド・ダイヤモンド(仮題)」(原題「BloodDiamond」(c)2006 Warner Bros. Entertainment Inc. 2007年春公開予定)です。

[BLOOD DIAMOND] 人生を変える石――
それは人々の心を試すため、地球の中心から生まれたとされる幻のダイヤモンド。
誰もの心を狂わせ、それを求める者により争いは絶え間なく繰り返される。
しかし、それに触れた者の手は、真っ赤な血に染まるという……。

blood diamond

(提供:Warner Bros. Entertainment Inc.)

「1990年代、内戦のなかで混乱を極めるシエラレオネ共和国。密輸で投獄された傭兵ダニー・アーチャー(レオナルド・ディカプリオ)。ある日彼は。家族から引き離され、ダイヤモンド産地で強制労働させられていた過去を持つソロモン・バンディー(ジャイモン・フンスー)と出会う。そして、そこでソロモンがとてつもない価値のあるダイヤの原石を見つけ、ある場所に隠したことを知る。ソロモンは家族を救うため、ダニーは完全に投げていた人生をやり直すため、“人生を変える石”を求める旅に出るが―。」
 
 

上記ストーリーを読む限りでは、ディカプリオが求める石、それこそが唯一無二の“ブラッド・ダイヤモンド”である、というイメージですが…。
しかし映画が公開され、それを見た人々の中には「日本で流通しているダイヤモンドの中にも血塗られた紛争ダイヤモンド(ブラッド・ダイヤモンド)が紛れているのではないか?」という宝飾業界において喜ばしくないイメージを抱いてしまう方がいるかもしれないという懸念もあるのです。
例えば販売の現場で「こちらで販売されているダイヤモンドは紛争と関係のないものですか?」あるいは「このダイヤモンドが紛争と関係ないことを証明することができますか?」といったご質問を受けた時、あなたはきちんとした説明できますか?
お客様が納得し、気持ちよくご購入いただくためには、そういった知識も必要だと思うのです。

紛争ダイヤモンドの歴史背景

1990年代の後半、アフリカのいくつかの反乱勢力が、ダイヤモンドなどの非合法的な取引によって、国際的に承認された合法的な政府に対する紛争資金を得ていることが、世界中に知られるようになりました。紛争ダイヤモンドに対する意識が高まると共に、グローバル・ウイットネスなどの非政府組織(NGO)による取り組みもあって、反乱組織によるダイヤモンドの非合法取引が人々の苦しみにつながる結果となっているのではないかという懸念が高まりました。
実は当時でさえ、紛争ダイヤモンド(ブラッド・ダイヤモンド)が占める割合は世界のダイヤモンド取引の4%とごくわずかに過ぎませんでした。しかし、ダイヤモンド業界はこの問題に対して断固とした姿勢で臨む人道的になすべきことへの義務を認識し、紛争ダイヤモンドを排除するべく共に紛争ダイヤモンドの取引を阻止する運動を行うようダイヤモンド業界全体に働きかけました。この取り組みによって、現在世界のダイヤモンド供給の99.8%以上が紛争と関係のない地域から採掘されたものであると保証されています。その行われている取り組みが「キンバリー・プロセス」と「システム・オブ・ワランティ」です。

キンバリー・プロセスとは

2000年、各国政府、国家間のダイヤモンド業界、NGOが共同で、ダイヤモンドが反政府組織の資金として使われることを防ぐイニシアチブを立ち上げました。このイニシアチブがキンバリー・プロセスとして知られるようになり、直ちに国連総会の支持を得ました。
具体的には、ダイヤモンド原石が輸出され国境を越える際には、不正に開封できない容器を使用するよう定められており、さらに、ダイヤモンドが紛争と関係のない地域から採掘されたものであることを政府が認証するキンバリー・プロセス証明書がこれに添えられます。証明書は偽造が不可能で、厳重に管理された独自の通し番号および出荷する内容が説明された情報がキンバリー・プロセス証明書に記載されています。輸出はキンバリー・プロセスの参加国に対してのみ許可されます。証明書の添付されていないダイヤモンド原石を参加国に持ち込むことはできません。
つまり国家間をまたぐ原石の移動に関しては、キンバリー・プロセス証明書が必要ということです。

システム・オブ・ワランティとは

ダイヤモンド業界は、消費者が購入するダイヤモンドの出所を保証するシステム・オブ・ワランティという制度を採用しました。キンバリー・プロセス参加国すべてが支持するこの制度では、研磨済ダイヤモンド宝飾品のすべての段階の売り手は、次の買い手へ、自主規制として以下の宣誓文をインボイスに記載しなければなりません。

(原文)
“The diamonds herein invoiced have been purchased from legitimate sources not involved in funding conflict and in compliance with United Nations resolutions. The seller hereby guarantees that these diamonds are conflict flee, based on personal knowledge end / or written guarantees provided by the supplier of these diamonds.”

(和訳)
「インボイスに記載されたダイヤモンドは、国際連合会議を遵守し紛争への資金提供に関与しない供給源より購入されたものです。ダイヤモンドの販売事業として、当方が自身の認識に基づき、且つまた、供給者の書面による保証により、これらのダイヤモンドが紛争に関係のないことを保証します。」

それ以外の施策

ダイヤモンド・デベロプメント・イニシアチブというものが、キンバリー・プロセスが重要な制度であると同時に、さらなる課題への取り組みとして立ち上げられました。キンバリー・プロセスはダイヤモンド原石の輸出入を対象としていますが、ダイヤモンド・デベロプメント・イニシアチブは、アフリカの貧しい国々におけるダイヤモンド原石の採掘の課題に取り組みます。こうした国々では小規模な個人的採掘(ふるいや鍋などの初歩的な道具を使って個人、家族、地域住民が行う非公式な採掘)が多く見られます。
このような採掘は、南アフリカ、ボツワナ、ナミビアなどにある厳重に管理され、規制された鉱山での採鉱とは異なり、地下の深いところから表面近くに運ばれ流れ着いたダイヤモンドが川底にあり、これらのダイヤモンドは素手や簡単な道具で採掘されます。このように管理されていない漂砂鉱宋での小規模な個人的採掘のため、適正な衛生管理、環境維持、労働条件が確保されにくい状況となりえます。
ダイヤモンド・デベロプメント・イニシアチブへの取り組みは、各国政府、非政府組織、援助資金提供者、業界、開発機関を取り込んで相互に人的資源、経験、知識を共有する多面的な連携を築き、課題に対応するために様々なプロジェクトが連携して立ち上げられています。
この連携によって真の変革が期待できます。漂砂鉱宋での小規模な個人的採掘を正式な事業体とすることで、採掘されたダイヤモンドが正当に取引される市場を確立することができます。このステップを踏み、小規模な個人的採掘に従事するコミュニティーや政府、さらにダイヤモンド業界全体に大きな貢献をもたらすことを目指しています。

ダイヤモンドの世界への貢献

世界のダイヤモンド産業は、開発途上国を中心に1.000万人を直接または間接的に雇用しています。他の資源と同様に、ダイヤモンドもアフリカ諸国やその他多くの国々の経済発展に不可欠です。
世界のダイヤモンドのほとんどは、開発を助け、継続的な雇用を創出する役割を果たしています。政府による統治と法律の遵守によって、ダイヤモンドはインフラの建設や基本的社会サービスの構築に欠かせない歳入源となるのです。
キンバリー・プロセスにおいて、企業が合意した目的は、生産国であれ、研磨に関わる国であれ、消費国であれ、ダイヤモンドに関わるすべての国の利益を保護することです。現在、世界のダイヤモンドの99.8%以上が紛争の関係のない地域から採掘されたものであると保証されています。

まとめ

上記の通り、現在日本に輸入されているダイヤモンドは、キンバリー・プロセス、そして、システム・オブ・ワランティの遵守という2つの施策により、ほぼ全てのものが紛争ダイヤモンドとは無関係であると言えると思います。また、ダイヤモンドが発展途上国を中心に世界の経済に貢献しているという事実も忘れてはならないことなのです。そして重要となるのは、お客様と直接接する販売員の方々が十分な知識を持ち、自信を持ってお客様にご説明出来るかということだと思います。

もっと詳しく知りたいという方は、下記サイトをご覧下さい。ここには紛争ダイヤモンド取引を撲滅すべく、業界が行っている様々な取り組みについての情報が記載されています。
http://www.diamondfacts.jp/

この映画「ブラッド・ダイヤモンド(仮題)」(原題「BloodDiamond」(c)2006 Warner Bros. Entertainment Inc. 2007年春公開予定)をきっかけに「紛争ダイヤモンド(ブラッド・ダイヤモンド)」に関する知識を深め、お客様が納得できる説明をすることにより、今以上の信頼を勝ち得ることが出来ると思います。
またこの件で何か疑問やご質問等ございましたら、弊社までメール(sales@ibctokyo.com)にてご連絡ください。質問の多かった事項に関しましては次号のGEMMYにてご紹介いたします。
もちろん当社すべての取り扱い商品に関しましては上記2点を遵守し、お客様にご満足いただけるような商品を求めて、買い付けしていると自負しております。


アイスブルーダイヤモンド企画・開発プロデューサーが、お客様に本当にあった商品企画をご提案するために設立したダイヤモンド専門会社
株式会社IBCTOKYO 担当:木村/湯浅 e-mail: sales@ibctokyo.com
東京都千代田区麹町 TEL : 03-3556-1481 FAX : 03-3556-1482 
www.ibctokyo.com