Gemmy 136 号 「ワールドニュース」

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Gemmy 136 号 「ワールドニュース」

GWも過ぎ、いかがお過ごしでしょうか。
今号は、新春号から特集してまいりました話題の映画「ブラッド・ダイヤモンド」(原題「Blood Diamond」(c)2006 Warner Bros. Entertainment Inc.)の完結号といたします。
公開がGWから4月初旬に早まり、ストーリーが明らかになりましたので報告します。
また、業界の方々から映画の感想を戴きましたので、一部をご紹介させて戴きます。

背景

舞台は1990年代後半のアフリカ「シェラレオネ」というダイヤモンド産出国。この国で産出された大部分のダイヤモンドは、非合法に輸出され反政府組織やテロ組織の資金源になっていると言われており、それが背景となっています。不正なルートで紛争地域から市場に出るダイヤモンドが「ブラッド・ダイヤモンド」(血で汚れたダイヤ)と呼ばれています。この映画はダイヤモンドの不正な取引をめぐって起きる不毛な争いの現実問題が描かれています。

ストーリー

のどかな村が反政府軍に襲撃される。村人たちは無差別に虐殺され、子供は少年兵に仕立て上げるため、また労働力として連れ去られた。
その時、反政府組織のダイヤモンド採掘場の労働力として連れ去られた漁師は、とてつもない価値を持つ大粒のピンクのダイヤモンドを見つけ、それを土の中に隠す。
偶然にそのことを知ったダイヤモンド密輸業者役のレオナルド・ディカプリオはそれを手に入れようと漁師に近づく。
一方、アメリカ人ジャーナリストは「ブラッド・ダイヤモンド」の密輸ルート解明のため、ダイヤモンド密輸業者であるディカプリオに近づく。
ひとつの大粒のピンクダイヤモンドを巡り、それぞれの思惑が交錯していくという物語です。

大手宝飾チェーン店本部生産資材課の方の感想

『この映画を知るきっかけとなったのは、DTCが開始した「フォーエバーマーク」の資料からでした。
その時は大した興味も持ちませんでしたが、百貨店サイドから映画公開を前に御社のダイヤは紛争ダイヤではありませんか? また、それを証明できますかという内容のFAXが届き、会社として動かざるを得ない状況となりました。
その後、取引のあるダイヤモンド業者に色々と教えて頂き、わかりませんとしか答えられないような状況を防ぐ為、仕入れ伝票にキンバリー・プロセスの文言を入れて頂くよう徹底しました。
そしてついに米国公開から大幅に遅れて、日本での劇場公開が始まったのです。
映画の感想としましては、やはり全体的にはジュエリー業界にとってマイナスとなり得る内容だったと思います。
基本的にはアクション寄りの感動系ですが、映画の節々にダイヤを買う消費者が紛争を長引かせている原因だということが表現されていました。
また、こういった事実を知ればダイヤモンドをだれも買わなくなるだろうというようなセリフもありました。また、1社が単独でダイヤモンドの価格調整を行い、コントロールしているという場面もありました。
必ずしも映画の全てが事実ではないと思いますが、捉え方次第ではジュエリー業界自体のイメージが悪くなってしまうとも考えられます。最近、テレビ番組等でこの映画について特集されていますが、基本的にはジュエリー業界に対し逆風となる捉え方が多いようです。
そのような風潮もあるというのに、宝飾業界に身を置きながら、ほとんど危機感を持っておらず内容すら知らない者が大多数で、さらにSHOPレベルとなれば全く何も知らないというのが現状です。過剰に反応するのもどうかとは思いますが、お客様から「このダイヤは紛争ダイヤですか?」などと聞かれるようなケースも想定し、きちんと対応できるように準備はしておくべきだと思います。近いうちにSHOPでこの質問をしてみようかなどと考えています。
ただ、映画を見た人の評価などをWebで調べてみましたが、「ディカプリオがかっこいい」といった感想が多く、消費者はそこまで気にしていないのかもしれません。』

宝飾チェーン店販売員の方の感想

『この映画で一番印象に残っているのは、反政府軍の侵略や反政府軍と政府軍の戦闘のシーンで、それは非常に凄まじいものでした。
反政府軍による、紛争とは無関係な人々の虐殺や手足の切断は、敵(政府)の戦力低下を目的とし、増大した障害者の保護により政府に財政的な負担を増加させ、またそれは選挙で投票できないようにするためともいわれているそうです。
また、さらった子供達を洗脳して少年兵に仕立て上げていく様子にも大変ショックを受けました。
「ダイヤモンドを欲しがる者がいる限り紛争は無くならない」と受け取れるような表現も各所にありましたが、全体的には激しい内戦の現実をリアルに描いたアクション映画だったように思いました。
宝飾業界とは全く無縁の友人たちに、この映画を見た感想を聞いてみたのですが、「すごくいい映画だった」というのが主な感想で、紛争ダイヤモンドについての質問はされたものの、ダイヤモンドを買う気が失せたという人はいませんでした。
恐らくダイヤモンド需要に影響が出るような事態にはならないでしょう。
ただ、この映画が公開されたことにより、アフリカの紛争や貧困の問題に対し、人々の関心が高まっていくことがあるのなら、とてもすばらしい映画であると思いました。』

最後に

私が実際シェラレオネという国を知ったのは、ユニセフ親善大使をされていた黒柳徹子さんが内戦終結直後(2002年にカバ大統領が国家非常事態の終了宣言)、2003年にシェラレオネに入られ、子供たちと語り合うというテレビ番組からでした。
紛争による死者が多数に上ったため国民の平均寿命が35歳であることや、手足を奪われた子供たちの光景、それはこの映画そのものでした。
天然鉱物資源がある国にもかかわらず、なぜ石油産出国のように豊かではないのかとショックを受けたのを覚えています。
以前は、アフリカ諸国をはじめとする世界のダイヤモンド産出国で、この大切な天然資源の一部が紛争の資金源として利用されることがありました。
しかし、2000年に各国政府、非政府組織、ダイヤモンド業界が一丸となってこの問題の解決のために立ち上がり、その後「キンバリー・プロセス証明制度」が確立されました。
キンバリー・プロセスは紛争地ダイヤモンド取引の撲滅に大きく貢献することとなりました。昨今、世界中で取引されるダイヤモンドの99%以上が紛争と関係のない地域から採掘されたものとなっています。
当然のことながら当社すべての取扱商品やその他日本に輸入される商品も、キンバリー・プロセス、そして、システム・オブ・ワランティを遵守した、お客様に自信を持ってお勧めできるすばらしいダイヤモンドです。
現在、ダイヤモンドとその収益が、アフリカの発展促進に大きく貢献しているということがあまり知られていないのは残念なことです。
この映画が公開されたことにより宝飾業界に多少の影響があったとしても、ダイヤモンド業界が注目された今こそがビジネスチャンスと考え、がんばっていこうではありませんか!
また、アフリカ諸国やその他の国々に、個人或いは企業体でなにか貢献できるのではという考えをお持ちの方などいらっしゃいましたら、弊社までメール(sales@ibctokyo.com)にてご連絡ください。ぜひ一緒に考えていきたいと思っております。


アイスブルーダイヤモンド企画・開発プロデューサーが、お客様に本当にあった商品企画をご提案するために設立したダイヤモンド専門会社
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