Gemmy 137 号 「平成19年宝石学会(日本)のご報告」

Gemmy


Gemmy 137 号 「平成19年宝石学会(日本)のご報告」

エポカルツクバ

エポカルツクバ

平成19年度の宝石学会(日本)講演会・総会が6月2日・3日の両日に、筑波のエポカルつくば(つくば国際会議場)にて開催されました。本年度は東京近郊ということもあり、参加者数も多く例年以上の盛況ぶりでした。先ず、6月2日(土)に発表のあった特別講演ならびに一般講演の内容について、講演要旨プログラムより抜粋して以下に紹介致します(○:発表者)。
尚、当中央宝石研究所からは、藤田所員と江森所員によりそれぞれ研究成果の発表がありました。発表内容については順次掲載の予定です。

一般講演 1
ミャンマーで産出する宝石の特徴

(株)モリス

  ○

森 孝仁

ジャパンジュエリービジネススクール

  

奥田 薫

一般講演 2
スリランカ産のギウダの分類と特徴について

東京宝石科学アカデミー  ウィジェセカラ チャンダナ

一般講演 3
アメシストからシトリンへの加熱変化について

聖徳大学川並記念図書館

  ○

林  政彦

コスモ宝飾

  

民谷 晴亮

早稲田大学教育学部

  

小松 睦美

 

  

堤  貞夫

早稲田大学理工学部

  

山崎 淳司

一般講演 4
最近分析した石についての報告

発表中の藤田所員

発表中の藤田所員

中央宝石研究所  藤田 直也

一般講演 5
ベリリウムを含むインクルージョンを持つブル-サファイアについて

発表中の江森所員

発表中の江森所員

中央宝石研究所  江森 健太郎

一般講演 6
回折X線分析法のターフェアイトとマスグラバイト識別への応用

全国宝石学協会

  ○

阿依 アヒマディ

  

  

小林 泰介

  

  

福田 千紘

  

  

北脇 裕士

  

  

岡野  誠

特別講演
ダイヤモンド合成の夜明け頃

講演会での岩槻雅男氏

講演会での岩槻雅男氏

筑波大学名誉教授 産総研招聘研究員  岩槻 雅男

特別講演では、筑波大学名誉教授の岩槻雅男氏より「ダイヤモンド合成の夜明け頃」というタイトルで、多くの技術者が苦悩し挑んできたダイヤモンドの合成についてお話をしていただきました。当時のダイヤモンド合成の研究開発には多くの苦難があったことや、表には出なかった話題などが紹介され、参加者全員40分の講演時間が非常に短く感じるほど惹きつけられた講演でした。

一般講演 7
合成ダイヤモンド鑑別の現状-GAAJラボにおける実例―

全国宝石学協会

  ○

北脇 裕士

 

  

阿依 アヒマディ

一般講演 8
天然ダイヤモンドのカソードルミネッセンス像について

物質・材料研究機構  神田 久生

一般講演 9
サファイア、スピネル、ガーネットをセンサに用いた温度計

東洋大学先端光応用計測研究センター

  ○

勝亦  徹

 

  

狩野 夢美

 

  

中山 千栄子

 

  

相沢 宏明

 

  

小室 修二

一般講演 10
分光反射率の比較によるパープルからバイオレット系淡水養殖真珠の考察

東京宝石科学アカデミー

  ○

渥美 郁男

真珠科学研究所

  

矢崎 純子

一般講演 11
貝殻真珠層に見られる「ダイクロイック・ミラー効果」の考察

真珠科学研究所

  ○

森 真奈美

 

  

田中 美帆

一般講演 12
「超てり」の研究1.貝殻真珠層との関連についての考察

真珠科学研究所

  ○

小松 泰子

 

  

矢崎 純子

一般講演 13
クロチョウガイ貝殻に見られる分泌色素の変遷についての考察

真珠科学研究所

  ○

吹田 眞輝江

 

  

小松  博

一般講演 14
タンパク質の変性と合成による異色真珠の作成法とその真珠の物性測定

環境生物工学研究所

  ○

原口 義信

真珠科学研究所

  

小松  博

見学会の様子:3万トンプレスについて説明する神田久生氏

見学会の様子:3万トンプレスについて
説明する神田久生氏

奨励賞を受賞した江森所員

奨励賞を受賞した江森所員

一日目の講演終了後には、国際会議場内で懇親会が開かれました。立食パーティの形式で行われ、参加者同士が交流を深めたり、様々な話題で盛り上がったりと有意義な時間を過ごすことができました。

翌6月3日(日)には、物質・材料研究機構ならびに地質標本館での見学会が行われました。前者では、3万トンもの重さをかけて合成ダイヤモンドを作る装置などを見学したり、後者では、たくさんの原石や化石などを見ることができました。共に数多くの発見や感動があり、大変充実した見学会となりました。
両日とも参加者にとって見識を深める内容であり、次回の宝石学会(日本)にも期待を寄せる次第です。

また、総会では宝石学会奨励賞の発表がありました。奨励賞は前年の研究発表を評価し、将来的に宝石学を担っていく若手に対して与えられるものです。中央宝石研究所からは、昨年の藤田所員に引き続き、本年度は江森所員がLA-ICP-MSを用いたベリリウム拡散処理ブルーサファイアの研究が評価され奨励賞を受賞しました。