Gemmy 154 号 「小売店様向け宝石の知識「金価格・Gold Price2」」

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Gemmy 154 号 「小売店様向け宝石の知識「金価格・Gold Price2」」

金価格・Gold Price2

宝飾品の特長は、数十年前の中古品でも、価値を持ち続けることだ。代表的な宝飾品の素材である金は、資産価値は将来も持ち続ける。欧米では、「宝飾品は楽しみ半分、資産半分」といわれる。宝飾品は身を飾りオシャレする楽しみがあり、将来は値上がる可能性のある資産としての楽しみもある。どんな時代が来ても、金は無価値にはならない。

「金・宝飾品はSafe Heaven」と呼ばれ、安全資産の避難所。戦乱を繰り返した過去の時代はもちろん、現代でも政情不安の国々の人々や、通貨の信用不安のところでは、金持ちが金や宝飾品を買い込むようだ。

インドや中国では、金志向が強い。とくに金持ちはその傾向が強い。

インドでは、結婚式には宝飾品をたくさん着用して参加する風習があり、娘には嫁入りのために金や宝飾品をたくさん持参させる。これは、将来に備えて、なにか困ったときのためだ。インドのブライダル需要は、金の世界相場に影響を及ぼすほどだ。

中国人もここにきて金買いに一部の金持ち層の人たちが走り出したようだ。古来、中国人は金志向、ヒスイを中心に宝飾品志向が強い。先の革命混乱期は別として、宝飾品文化は昔から栄えた歴史がある。

上海の有名観光スポット豫園という盛り場がある。東京の浅草のような名所だ。ここ豫円商場には数多くの商店が集積していて、買い物客や観光客がゴッタがえし、すごくにぎわっている。ここには金の装飾品やヒスイ宝飾珠玉店が軒を連ねる一角がある。

ここのある珠宝店の主人は中国も一部の人々は金持ちになり、いまや宝飾品の売れ行きもうなぎ昇りの景気だという。「金は見た目も良くて、美しい」「金を素材にした宝飾品の売れ行きは上々で、前年比1~2割アップで売上げが伸びている」という。

中国ではゴールドジュエリー、宝飾品の売買は自由で、金持ちはオシャレでゴールドジュエリーを購入している。ただし金地金の購入、金投資は現在はできない。

中国の海外貿易は活発であり、GDPも日本を抜いて世界第二位になりつつある。中国の外貨準備高とくにドル保有高は急増している。米国債保有高も増加の一途だ。

世界的なドル不安を背景に、中国政府はドルを金に交換して、いつ金の保有比率を引き上げるか市場関係者はピリピリしている。とくに世界の金市場価格を決めるニューヨーク市場は、中国の金融政策動向に目を光らせている。

華僑が多い東南アジアの大都市の中心地には必ず金商行の集積した盛り場がある。中国内陸の大都市はもちろん。香港、マカオ、バンコクの中心街には金ゴールド専門店が集積している。華僑は資産保全のために金蓄財が旺盛である。

さてわが国の現状はどうか。国内は、このところの不景気で宝飾品需要が落ち込んでいる。不景気で収入が減っていることもあり、宝飾品の換金を考える人が増えている。

そしていま貴金属価格の上昇で宝飾品を買い取る業者が増えている。手持ちの宝飾品を売却する人が増え、宝飾品再流通の波が起きている。宝飾品再流通市場拡大という新現象だ。

家庭に多くの宝飾品が眠っている。ある調査機関によると、宝飾品の国内市場規模は年商で約1兆円弱(2008年推計)。タンス在庫は原価ベースで20兆円にのぼると推定される。

近ごろ街角に貴金属買取りショップを多く見かける。貴金属買取り新聞折込みチラシも増えている。

貴金属買取り専門店の広告には、次のような内容が掲載されている。
◎ご不要なジュエリー・金・プラチナ・ダイヤモンドお気軽査定お時間はかかりません。お気軽にお越しください。
◎金相場・・・高騰中。換金今がチャンス。キャンペーン実施中。
◎新宝飾品に買い換えの場合は、割引チケット贈呈。

貴金属再流通ビジネスの背景には、金価格が歴史的高値にあること。最近の金価格は1999年の約4倍と歴史的高値だ。ここで宝飾品買取り価格査定、素材の金・プラチナの分析査定の問題がある。宝飾品に使用されているダイヤモンド・色石の再流通には本格鑑定の必要性の問題がある。宝飾品再流通市場・新興市場の拡大には健全発展が望まれる。

「楽しいジュエリーセールス」 著者:早川 武俊
早川宝石研究所ホームページ