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CIBJOバンクーバー総会

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PanPacific Hotel

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July 24 – Morning Session

今年のCIBJO総会は7月24日から27日の4日間、カナダ西岸の都市バンクーバーに世界各国から300名以上の出席者を集め開催されました。本年はCIBJO創設80周年を迎える年であり、総会初日には正式に国連からコンサルタント組織として認められたことが発表され、この数年間改訂作業が進められていた各ブルーブック(色石、ダイヤモンド、真珠)の承認の件もあり、例年になく活発な国際会議となりました。

CIBJO 総会は7月24日からバンクーバーのパンパシフィックホテルで開催され、総会初日の午前9時から始まった開会式では、宝飾品業界の長期の健全を確実にするために業界は若い消費層にすばらしい宝飾文化を浸透させる努力をするようにとCIBJOカヴァリエリ会長からの呼びかけの挨拶で総会はスタートしました。これに続きカナダ政府代表、国連代表、産業団体の各代表から挨拶があり、特に国連経済社会理事局主任メゾイ女史からは、CIBJOが国連の経済社会理事局(ECOSOC)の公式相談を受ける唯一の組織に認められたことが公に伝えられました。

その後、各ゲストスピーカーから様々な発表があり、スピーカーの多くは12月公開予定の映画“The Blood Diamond”について触れました。これは、レオナルド・デカプリオを主役として、1990年代後半のシエラレオネのダイヤモンド密輸業者の話です。この映画が公開前に問題として捉えられている理由は、キンバリープロセス1) やシステム オブ ワランティ2) の機能で紛争ダイヤモンドを排除している業界力が示されていないために紛争ダイヤモンドが市場に出回っているイメージを与える可能性がある、そしてそのイメージのため一年で最もダイヤモンドが売れるクリスマス時期にダイヤモンドの不買運動が起きることが懸念されるためです。

1)キンバリープロセス
国連、政府、NGO、およびダイヤモンド業界によって始められた人道問題に関する共同の取り組み。その取り組みは紛争資金を供給する不法に取り引きされるダイヤモンド原石を世界から排除するもので、今日68の政府がNGOとダイヤモンド産業界に協力して法的な抑制を行なっている。

2)システム オブ ワランティ
キンバリープロセスに則ったダイヤモンド原石から研磨されたダイヤモンドおよびそのダイヤを含む宝飾品であることを消費者に証明するものためのもので、買い手および売り手はインボイス上でキンバリープロセスに則ったものであることを保証する定められた声明文を記載することが義務付けられている。

総会2日目は各委員会に分かれて会議が進められました。

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July 25 – Pearl

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July 23 – Pearl Commission

真珠委員会(議長:Martin Coeroli;フレンチポリネシア) は、昨年の香港総会で新たに結成されたパールステアリングコミッティ(運営委員会)が一年間という短期間で密に活動し作成したISOフォーマットで書かれた真珠ブルーブックの検討がなされました。

大きな変更を紹介しますと、新しい真珠ブルーブックでは消費者に“告知を必要とする真珠の加工処理”と“告知を必要としない加工処理”が一覧表に纏められています。本委員会の2日前に開かれていたパールステアリングコミッティでは、日本側代表の主張は通らず、漂白、調色、および加熱(加温を含む)は“告知を必要とする加工処理”に決定されました。しかし、漂白だけはこの本会議でどちらの分類に入れるかが再度討議され、アコヤ真珠の漂白と黒蝶真珠を漂白してチョコレート色にするのは目的が大きく異なり、チョコレート色のように色が変化しているものに対しては色の改変(Colour alternation)という定義と用語を新たに設け、“告知を必要とする真珠の加工処理”に分類し、アコヤ真珠などの漂白だけは“告知を必要としない加工処理”に分類することが最終的に決定されました。

ダイヤモンド委員会(議長:Harry Levy; 英国)からは、技術的な部分を排除したダイヤモンドブルーブックが提出されました。但し、技術的な部分は一般仕様書3) PAS1048を“引用規範”としてその中で紹介しており、このPAS1048は以前ISO化を目指して纏め上げられ、国際規格として承認されなかったものであるため、“引用規範”とすることに反対意見が出されました。決議の結果、PAS1048をそのまま残すことで決定されました。
その他トリートメント以外の用語の使用禁止、すなわちエンハンスメント、プロセスなどの用語の使用禁止が決定され、先月のWFDBテルアビブ総会で決定された合成ダイヤモンドへのグレードに対する考えを支持する声明文が作成されました。

3)一般仕様書
専門家同士のコンセンサスを示す規範文書で、ISO作業グループの技術専門家間の同意に基づいており、投票で委員会メンバーの1/2以上の賛同が得られれば、PASとして発行できる。

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July 25 – Colored Stone Commission

色石委員会(議長:N.アラウディーン;ヴァラサクスリ委員長の代理として)
昨年香港総会で承認された色石ブルーブックの内容の一部改定が提案され、満場一致で承認されました。しかし、昨年から大きな課題として取り組んできた第8 条(一般開示)と第9条(特別開示)の統合について、日本は現在のJJA/AGLルールが基本的に完全開示を行なっているため統合に賛成で、いち早く統合のための案を色石ステアリングコミッティに提出して来たわけですが、ドイツやフランスなどの強い抵抗があり統合の実現には至りませんでした。但し、全出席者は完全開示がCIBJOブルーブックの目標として残っており、ブルーブックの第8条と第9条の改定、あるいは代替の解決策を求めて再びステアリングコミッティを年内に開催し議論を続けてゆくことで同意しました。
その他、ブルーブックは業界人であっても専門用語を知らない限り読みづらいものであるため、消費者や業界人にとって判りやすい小冊子を作成することが提案され、こちらも承認が得られました。

ラボラトリー委員会(議長:Héja Garcia-Guillerminet;フランス)
ラボラトリーステアリングコミッティでは、現在のCIBJO認定ラボラトリーのシステムがヨーロッパ法に照し合せると独占禁止法に抵触する危険性があるとの指摘を法律事務所から受けており、CIBJOと認定ラボの関係および法律的な問題の無いシステムの再構築を行ない、最終的な案が発表されました。
その結果、一国一機関のCIBJO認定ラボラトリー制度は廃止され、ラボの種類に関係なく条件を充足していれば如何なるラボでも登録申請が出来るようになり、またラボラトリー委員会の名称は宝石学委員会に改め、今後宝石学および技術的な側面のみを扱うようになるというものでした。これらの提案の採決は3日目の全体会議へとまわされ、そこで承認されました。
その他、合成ダイヤモンドのグレード用語について話し合いが行なわれ、ここでは天然と同じグレード用語を使用するべきではなく、明らかに異なる用語で合成ダイヤモンドの等級付けをするようにラボラトリーと交渉しているWFDBとIDMAの姿勢が評価されました。

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July 26 – Assembly of Delegates

総会3日目は、朝8時からはセクターIII 会議が開かれ、セクターIII に属する色石、ダイヤモンド、真珠、ラボラトリーの各委員会議長から決議事項報告が行なわれ、質疑応答の後、セクターIII 会議でも全て承認されました。
続いて倫理委員会が開催され、ここでも話題は紛争ダイヤモンドを扱った映画である“The Blood Diamond”の問題が取り上げられていました。また、CIBJOメンバーはWorld Diamond Councilのシステム オブ ワランティの導入をモニターし、必要であるならばそれに応じないメンバーに対して懲戒処分を与え、システム オブ ワランティを採用する会社の確保がメンバーに呼びかけられました。その他、倫理委員会は色石、真珠、および貴金属セクターの範囲で倫理に関わる問題に対処するための戦略を定式化する研究を開始することも発表されました。
午後からは本総会の総括である全体会議が開かれ、活動報告、予算報告、続いて各セクターおよび委員会議長からの決議事項報告が行なわれ、最後に次回CIBJO総会はケープタウン(南アフリカ)で2007年3月に開催すると発表されCIBJOバンクーバー総会は無事終了しました。

CIBJO(国際貴金属宝飾品連盟)について
CIBJO(World Jewellery Confederation)の前進であるBIBOAは1926年にヨーロッパの宝石貴金属業界の情報交換と国際的な相互利益のために発足し、その後1961年に国際的な組織として再編成され現在のCIBJOとなりました。
日本はJJAの前身である日本貴金属宝飾品製造卸組合連合会が中心となり1979年5月のCIBJO総会で日本の加盟が全会一致で承認され、以降日本国際貴金属宝飾品連盟(CIBJO OF JAPAN)としダイヤモンドマスターストーンの導入、CIBJOレポートの発刊等を行い、1988年設立されたJJAがこれを承継し、総会に毎回代表を派遣しています。
CIBJO では、貴金属宝飾品の製造関係をセクターI 、貴金属宝飾品の流通関係をセクターII 、ダイヤモンド、色石、真珠などの宝石類、およびラボラトリーに関することについて話し合うセクターIII の3部門と倫理委員会に分けています。参加国はこれらの部門や委員会に代表を指名し出席させることが出来ます。

平成18年第19回国際鉱物学会総会

国際鉱物学会議(IMA, International Mineralogical Association)は世界各国の鉱物学及び地球物質化学関連の学会が加盟する国際組織で、およそ4年に1回総会が開かれています。今年は第19回目の総会が、7月23日から28日までの6日間に渡って神戸のポートアイランドにある神戸国際会議場で行われ、筆者も参加する機会を得ましたので報告したいと思います。
合計約480件の口頭発表と約400件のポスターセッションでの発表があり、それらは37分野に分類されていました。これらの分野の中には宝石学のセッションもあり、今回は口頭発表8件(残念なことにうち2件はキャンセル)、ポスターセッションは3件でした。開催期間の都合で複数のセッションが平行して行われるため、聞きたかった発表をすべて回ることができず残念な思いをしましたが、以下に宝石学セッションの内容についてご紹介します。

【口頭発表】
ダイヤモンド関係は、J.E. Shigley氏の「HPHT-treated colorless and colored gem diamonds」とFritsch E.
氏の「The first color center related to the brown graining in type Ia natural diamonds」の2件。色石関係はC.Ionescu女史の「Cenozoic fossil resins used in gemology : towards a practical grouping」、
C.Aurisicchio氏の「Archaeological emerald provenance : A contribution from trace elements analysis
by secondary ion mass spectrometry」、川野潤氏の「Behavior of Beryllium diffusion in Corundum」、
Ahmadjan Abduriyim氏の「Application of LA-ICP-MS to the gemological field」、以上4件がありました。
J.E. Shigley氏、Fritsh E.氏のダイヤモンドに関する発表は、問題になっているHPHT処理ダイヤモンドに関係する話題である事と、発表のキャンセルによって質疑応答の時間が多目に取れたということもあって、非常に多くの質疑応答が行われていました。このセッションのうち特に川野潤氏の「Behavior of Beryllium
diffusion in Corundum」が個人的に興味深かったので紹介します。この発表では分子動力学(MD)シミュレーションを用いてコンピューター上でコランダム中のBe(ベリリウム)の拡散挙動について計算している点が非常に新しいと思いました。MDシミュレーションとはコンピューター上に精密に計算された原子配列、温度、圧力を設定し、時間が進むとどうなるのか、計算する手法です。この手法でコランダム中にBe原子が温度1300Kから2300Kの間で拡散可能であると計算されました。また、この手法で得られた拡散定数は合成コランダムにBeを1700Kで拡散加熱させる実験をして得られた拡散定数とよい一致を見せる点から、このMDシミュレーションはコランダム中のBe拡散挙動をよく示していました。このシミュレーションは通常のBe拡散過熱処理が行われているであろう温度よりも低い温度で拡散過熱が可能であるということと、MDシミュレーションは今後あらわれてくるであろう処理を予見する方法として有力な方法であることを示唆しています。

【ポスターセッション】
ポスターは開催日のうち2日にわけて貼り出されました。 
Fritsch E.氏の「Pigments in cultured freshwater pearls : identification using Raman scattering and
UV-Vis spectroscopy」、神田久生氏は「Two types of the Blue Band-A Luminescence of Natural
Diamond」、下林典正氏の「Iridescent andradite garnets(Rainbow Garnets), newly-found from the
Tenkawa area in the Yoshino district, Nara Prefecture, Japan」の3件の発表がありました。
神田久生氏の発表は、Band-Aと呼ばれるダイヤモンドのブロードなルミネッセンスバンドが2種類存在し、1つはダイヤモンドが成長する際に獲得した欠陥によるもので、もう1つは成長後に受けた歪みによるものであろうという内容でした。
下林典正氏は奈良県吉野地方天川で近年発見されたレインボーガーネットについての紹介と、レインボーガーネットのイリデッセンスを示す組織についての詳細な分析結果を発表されました。

今回は日本での総会開催ということもあり、日本人の参加者が非常に多かったように思えます。講演会場は満席に近い状態で、非常に活発な議論が行われていました。

次回の第20回国際鉱物学会総会は、2010年ハンガリーのブダペストで8月21日~27日に開催される予定になっており、また機会があれば参加したいと思います。

平成18年宝石学会(日本)のご報告

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会場・神戸芸術工科大学

平成18年度の宝石学会(日本)の講演会および見学会が7月22日(土)・23日(日)に開催されました。今年度はIMA(International Mineralogical Association、国際鉱物学連合)の総会が神戸で開かれること等に合わせ、例年よりひと月程時期を繰り下げ、神戸芸術工科大学での開催となりました。
講演会は、東京以外での開催にも拘らず80名もの参加者が集い、特別講演2件、一般講演17件を熱心に聴講する姿が見られました。
一般講演は発表・質疑応答を含めて20分の持ち時間、特別講演は40分の発表時間で、プログラム通り、ほぼ滞り無く進行致しました。

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江森所員

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藤田所員

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藤田所員奨励賞

当中央宝石研究所からも2件の登録があり、江森所員が「Be拡散加熱処理を施されたブルー・サファイアの鑑別について」という演題で、藤田所員が「コパルの加熱実験による諸データの変化について」という演題で、研究成果の発表を行ないました。発表内容については本誌上で順次掲載していく予定です。(講演プログラムは前号参照)
また、藤田所員はコハクなどについての研究成果・発表内容が評価され、宝石学会奨励賞を受賞致しました。
奨励賞とは、継続的に発表を行ない学会に貢献した若手研究者に授与される賞で、今回は全国宝石学協会のアヒマディ氏と藤田所員の二人が受賞対象となり表彰されました。


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シグリー博士

特別講演1はGIAリサーチ部門の責任者であるシグリー博士(Dr. James E. Shigley)が、「天然、処理および合成宝石ダイヤモンドの鑑別」という演題で講演を行いました。照射やHPHTの処理方法について、高温高圧法および最新の化学的気相法(CVD)による合成方法について、さらには複数の処理がなされた(例えば照射処理に加えてHPHT処理がなされた等)ダイヤモンドの鑑別法についてなど、GIAの研究成果が発表されました。

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小倉教授

特別講演2は、会場となった神戸芸術工科大学の小倉繁太郎教授が「構造色から見た透明体内部の分光測色」という演題で講演しました。透明な宝石(特にオパール)内部の局所的分光測定と従来の表面で得られた構造色との比較等についての専門的な内容の講義でした。構造色とは、顔料・染料による色ではなく、回折・干渉・散乱による特異な色が現れる現象を指します。小倉先生のご専門は応用物理の光学薄膜・構造色です。

一日目の講演会終了後は、学内の厚生館に場所を移し懇親会が行なわれました。和やかな雰囲気の中、参加者同士で交流を深めたり、質疑応答時に質問できなかったことを熱心に聞かれる方もいらっしゃいました。



二日目は、42名の参加者が鳴門のうず潮と淡路島洲本にある真珠製核工場を見学致しました。うず潮の見学はちょうど大潮の時間帯に観潮船に乗れたため、船上で波しぶきをあびる方までいて、自然の雄大さに触れることができました。真珠製核工場では、工場の方から丁寧な説明があり、核の製造工程をつぶさに見学することができました。核に使用されるミシシッピ産カワボタンガイ(ウォッシュボード)等についても知見を深めることができ、大変有意義な見学会となりました。

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渦潮

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ウォッシュボード

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製核工場・貝切断


ワールドニュース

残暑お見舞い申し上げます。
マーケットも夏休みということで今回は、各国の皆様に夏休みの過ごし方についてお話を伺いました。(夏休みの期間・過ごし方、夏の風習・慣習、夏のトピック、今一番ホットな場所、一番の話題など)

イスラエルHoliday

<夏休みの期間>
夏休み8月6日から27日まで取引所は完全に休みで、それに合わせて業者の方々もお休みが多いようです。それにしてもほぼ3週間のお休みとはうらやましい限りです。

<夏休みの一般的な過ごし方>
国内旅行(リゾート地のエーラットや死海)に出かけて、家族サービスをするのが一般的な夏休みの過ごし方です。家族サービスは世界共通ですね。

<イスラエルの風習>
高校を卒業後、すぐに兵役(男性3年、女性2年)に入るイスラエルは、兵役後、仕事に就く前に世界各国を旅して歩く人が多いと聞きます。主な行き先は、インド、ネパール、カトマンドゥー、タイ、オーストラリア、そして日本などを2ヶ月から1年かけて巡ります。彼らはその国でアルバイトをしてお金を稼ぎ、次の国への資金
にするという商売上手です。聞いた話では、日本の路上で犬や人形に形作った風船を子供達に販売し、1日2万円も儲けていたとか。ダイヤモンドの商売も手強い相手なわけですね。

香港Holiday

夏休みという習慣はないようです。

<香港の風習・慣習>
香港の夏は大きな行事はありませんが、秋には「中秋節」という行事があります。家族連れがランタンを持って公園などに集まり、秋の夜を明け方まで、にぎやかで楽しい時を過ごすのです。その晩、香港の地下鉄は終夜営業します。この時期、お世話になった方に対して「月餅」を贈るという日本のお中元のような習慣があり、街は月餅であふれています。

<今一番のホットなお店>
香港はイギリスから返還後、今年で10周年を迎えました。レストランの種類が格段と増えて、中華料理に加え、四川料理、北京料理、上海料理、韓国料理、また日本の料理は一大ブームです。居酒屋までも日本の味そのままが味わえるまでになりました。とりわけ回転寿司は香港のカップルを中心に行列の出来るお店として大人気です。ただ日本の回転寿司を知っている人にとっては、驚くほどの値段です。円安やユーロ安の影響により、世界の中でも現在の日本ほど安価でおいしい食事にありつける国も少ないと実感しています。

アメリカHoliday

<夏休みの期間>
アメリカにおける社会人の夏休みは平均的に2週間程度。1週間の休みを2回取る人や中には4週間も取る人もいるようです。アメリカの会社は、日本のように有給休暇は年間で何日と決まっているわけではなく、お給料が支払われる度に1日有給休暇をもらえるという感じ。一般的に給料は2週間毎に支給されるので、有給休暇も月2日ずつ増えていきます。よって就職・転職したばかりの人はあまり休めないということになっています。

<夏休みの一般的な過ごし方>
基本的には、やはりバケーションに行く人が多いようです。少し遠出をしてビーチやナショナルパークなどへ出かけます。友人の話では、タイムシェアのコンドミニアム(1年間に何週間か使う権利があるという物件)を持っていて、そこに出かけると聞きました。日本のお盆のように親族全員で集まるのはサンクスギビングやクリスマスなので、夏休みは家族だけで旅行に出かけたりすることが多いようです。

<夏の風習・慣習>
アメリカ人は野外が好きなような気がします。レストランではどんなに暑くてもテラス席が大人気。公園ではバーベキューパーティー。その他、野外コンサートやシアター、夏はいろいろな野外イベントが盛りだくさんです。友人家族は昨年、ワシントンで開催された無料のドライブインシアターに出かけたそうですが、映画が始まるまで、子供用の輪投げやトランポリンなど、日本の縁日みたいな感じだったそうです。夏が一番盛り上がるのはやはり7月4日(独立記念日)で、いろいろな場所で花火が打ち上げらます。会場近くに早くから場所取りをして、そこでお弁当を広げたりします。近所のコーヒーショップやアイスクリーム店でも店外まで長い列ができていたそうです。

<今一番のホットな場所やお店>
やはりアメリカも回転寿司!ワシントンポストで紹介されていた店に出かけた友人家族の感想ですが「この程度のネタでこのこんなに高いの?」と言っていました。しかし店内は意外にも満席で、一人で食べに来ている年配の方までいましたが、日本人は全くいなかったそうです。ワシントンでは回転寿司のお店が立て続けに2店舗開店したそうで、ちょっとしたブームなのかもしれません。

ベルギーHoliday

<夏休みの期間>
子供たちの学校は7月初旬から夏休みに入り(2ヶ月位、大学に至っては3ヶ月近く)また、就労者も年に3~5週間の休暇がもらえるのでこれを夏休みに使うようです。

<夏休みの一般的な過ごし方>
やはり欧州の人たちも夏には、バカンスに出かけることが多いようです。旅行先としては、いつでも大人気のスペイン、イタリア、フランス。意外なところではデンマークやスウェーデンなどの北欧や、ギリシャやキプロス島など地中海側の国も人気があります。天気が悪いベルギーからは抜け出したい人が多いのかもしれません。北欧の国の人はアジア、フィリピンやタイに行く人が多いそうです。

<夏の風習・慣習>
夏はどの国でも、お祭りは多いもの。ベルギーでも7月から9月にかけて、どんなに小さな街でも音楽や映画、また食べ物など何らかのフェスティバルがあります。ヨーロッパではベルギー以外でも、音楽祭はとても盛んです。中でもウィーンやプラハは有名で、街をあげて大々的にライヴステージを建てて開催されます。しかしオペラだけは室内芸術なので夏よりも秋や冬に催される場合が多いようです。お国柄が出るなと思うのは「お祭り屋台フード」です。揚げドーナッツ、ワッフル、リンゴ飴、ソーセージブレッド、ハンバーガー、ケバブ、大きなフライパンで作られたパエリア、牛の丸焼き・・・といった食べ物が並びます。日本ではカキ氷などのさっぱりした物が多いような気がしますが。

インドHoliday

<夏休みの期間>
秋のディワリが一番のお休みである彼らにとっては、夏休みは所属している組織によってかなり違いがあるようです。例えば大企業に勤める人やダイヤモンドに関わる人達にとっての夏休みというものは原則的には無し。個人経営者の中には1~2週間休みを取って夏のバカンスに出かける人達もいるようです。

<夏休みの一般的な過ごし方>
もし休みが取れたら実家に帰省したり、旅行に出かけたりと日本とほぼ同じです。

<夏の風習・慣習>
夏といえばエアコン。常夏の国々の冷房温度は日本とは比べ物になりません。日本では環境への配慮から、クールビスも定番化、室内温度28度が推奨され、電車は「弱冷房車」もある日本に対し、インドを含む東南アジアの国々の長距離電車やバスのエアコン車ではほとんどが「最強冷房車」です。それはオフィスでも同様で、約1
0℃といったところで、体感温度が違うとしか思えないほどです。外は半袖シャツ一枚でも汗だくなのに、オフィスに入ると同時に汗はスッと引き、長袖のシャツを着ていても、しばらくするとブルブル震えてきます。冷房で風邪をひくということはないのでしょうか。

<今一番のホットなお店>
世界中で日本食がブームですが、その中でも最高級な部類に入るのがムンバイに出来た「WASABI」という日本料理店です。食材はすべて空輸、シェフも日本人が常駐。メインシェフの森本氏はかつての「料理の鉄人」。しかし、これが結構なお値段なのです。空輸となれば仕方がないかと思いきや、森本氏いわく「インドの関税は67.5%も取られるから、まったく儲からない」とのことでした。


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株式会社IBCTOKYO 担当:木村/湯浅 e-mail: sales@ibctokyo.com
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小売店様向け宝石の知識「クンツァイト」

クンツァイト・Kunzite

クンツァイトは、ライラック・ピンク(lilac pink)の色合いが美しく、それに加えて、さわやかな透明感がある宝石です。大きくカットされた石はとくに魅力的である。このクンツァイトの持つデリケートな色味は、多くの宝石コレクターや宝石愛好家によって賞玩されている。
この宝石名は、ニューヨーク5番街にあるティファニー宝石店の副社長であった当時から有名な宝石の権威者のジョージ・フレデリック・クンツ博士の名前に因んで命名された。
宝石名には有名な人名や採掘された地名に、「石」を表わすアイトiteを接尾語として名付けられたものがあり、その由来がわかりやすい。モルガナイト、タンザナイトなどこの種の宝石名は数多くある。クンツァイトもその一つでクンツ博士の宝石学者としての名声を後世に残している。
宝石の歴史は古いが、このクンツァイトはたいへん新しく、20世紀初頭に発見されている。
ラベンダーの色味のあるピンクが持ち味で、スポジュメン・Spodumenと呼ばれる鉱物の一変種である。この鉱物は、ほかにエメラルド・グリーンのヒデナイト・hiddeniteやイエロー・スポジュメンなどの変種がある。
スポジュメンというのはギリシャ語の「焼いて灰になる」という言葉に由来しており、この鉱物が最初に発見されたときの外観を指している。最初はリチウム金属あるいはその化合物の原料にするくらいで、宝石としての用途は無いだろうと考えられていた。
しかし、クンツァイトのような宝石になる種類が発見され、エメラルド・グリーンの緑色のヒデナイトなどが発見されるに及んで、スポジュメンは宝石学上、重要な鉱物となった。ヒデナイトもその発見者であるウイリアムE・ヒデンの名前に由来している。
主成分はリチウム・アルミニウム珪酸塩で単結晶に属し、扁平な柱状結晶で産出される。
硬度は7であるが、劈開・クリベージの性質があり、もろく割れやすいので丁寧な取扱いが必要だ。劈開・クリベージの性質のためファセット・カット、すなわち面加工研磨は難しく、さらに結晶が薄い板状であるために。色合い良くカットするのは大変な作業になる。このため一般に厚くカットして、色合いを濃くしている。
クンツァイトのピンク色はデリケートである。太陽光線に長く晒されると紫外線で自然に褪色することがある。
クンツ博士によって宝石質のスポジュメン鉱物の一変種であるクンツァイトがカリフォルニア州サン・ディエゴ郡メサ・グランデで発見されたのち、同じくカリフォルニア州のほかの鉱山からも多量に発見され、それ以後カリフォルニアはクンツァイトの重要な産地となっている。マダガスカル、ミャンマーでも産出する。ブラジルのミナス・ジェライス州でもイエロー・スポジュメンは産出するが、クンツァイトの産出量はきわめて少ない。
クンツァイトの屈折率は多少変動するが1.660~1.676。通常の複屈折率は、約.016である。光学的特性は二軸性のポジティブ。分散度は非常に低い(.017)。比重は3.18、モース硬度は7。クンツァイトは薄紫からほとんど無色に等しい色の強い二色性を示す。これは石または結晶を回転させれば肉眼で観察できる。色は結晶の長い方向において濃く、それと直角のなす方向においてほとんど無色である。蛍光は強い。特殊効果は別になく、特徴的なインクルージョンもない。酸には侵されないが、枠付けのときの火炎で溶融することがあるので高温には要注意である。
クンツァイトはピンクの色合いが優しい。クリーンイメージのすっきりした透明感がある宝石。若い女性に人気がある。価格も手頃である。指輪につくられたクンツァイトは、若い女性の指が動き回転するたびにピンク色の中にすみれ色がかかって見えたり、無色に見えたりする。優しい色合いとすっきりした透明感を見せる宝石である。
結婚前のお付き合いの時機に、愛する彼女に是非贈り物にしたい宝石。清潔感あふれるすっきりした明るいピンクの宝石である。

「楽しいジュエリーセールス」
著者 早川 武俊