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エメラルドの産地と特徴 -その1-

エメラルドは、深い緑色が魅力的な最も美しい宝石の一つです。内包物が比較的多い石ではありますが、その緑色の深さが十分であれば内包物の存在で評価を落とすというよりもその色調により高い評価が与えられている宝石です。

エメラルドの名前は「緑色の宝石」を意味するラテン語“smaragdos”やギリシャ語“smaragdus”に由来し、それらがフランス語の“esmeraude”となり、現在の“emerald”に変化したと言われています。この素晴らしい宝石には多くの物語がありますが、その殆どは南米大陸での話です。南米では今でもエメラルドが大量に産出されており、古代のインカ族やアステカ族もこの石を神聖な石として崇拝していました。しかしながら、おそらく知られている限り最も古いエメラルド産地の記録は紅海の近辺からのものでしょう。西暦紀元前3000年から1500年の間にエジプトのファラオによってエメラルドはすでに珍重されており、クレオパトラも愛用していたと伝えられています。

鉱物としてのエメラルドは、7.5~8の硬度を持つベリリウム・アルミニウム・ケイ酸塩鉱物で、アクワマリンやモルガナイトと同じベリル鉱物に属します。純粋なベリルは無色ですが、結晶が形成される過程でほんのわずかなクロムやバナジウムが加わることによりすばらしい緑色を呈するわけです。

このようなクロムやバナジウム成分とベリリウムやアルミニウム成分は地球化学的な性質が違う元素で、それぞれが異なる火成活動と関連しています。性質の異なるそれぞれの火成活動が同一の地域で重なって起こり、はじめてこれらの成分が出会い、美しいエメラルドを作り上げます。

多くのエメラルドが今日オイルまたは天然の樹脂で習慣的に加工されています。これはエメラルド結晶をカットした際に表面上に露出したキャビティからの液体の流失により空気が入り込み、その結果 石の内部へと続くキャビティを白く目立たせ、エメラルドの色そのものを低下させる、それをカバーするための加工です。オイルを含浸したエメラルドはキャビティ中のオイルが再び流失してしまう恐れもあるため、石の取り扱いには十分な注意が必要です。特に、エメラルドは超音波で洗ってはいけませんし、洗剤に浸すことも避けるべきです。

産地

エメラルドは南極以外の6大陸から産出があります。その中でも南米大陸は最も重要で、特にコロンビアは最も産出量が多く、そして最も素晴らしい品質のものが産出されます。だからと言って「産地」が自動的に品質を保証すると考えることは間違いです。良質のエメラルドがザンビア、ブラジル、ジンバブエ、マダガスカル、パキスタン、インド、アフガニスタン、あるいはロシアのような他の国でも産出されます。特にザンビア、ブラジル、そしてジンバブエは良質のエメラルドであると国際的な評判を得ています。ザンビアのエメラルドは、透明度が良くて美しい濃いエメラルドです。その色はコロンビアの石よりもっと一般的に濃く、青味がかっています。ブラジルでは、イタビラ鉱山やサリニンア鉱山が有名ですが、ブラジルのものは緑色がやや黒味を帯びているのが特徴です。ジンバブエの有名なサンダワナ鉱山のものは、一般に小さいが、鮮やかな濃い緑色でしばしば黄色がかっています。

1. 南米

コロンビア

コロンビアのエメラルドはスペイン人がやって来るずっと以前から先住のインディオの手で採掘されていました。スペインの征服者がコロンビアに侵入し、彼らは大量のエメラルドをインディオから奪い、更にソモンドッコ(碧の石の神)と呼ばれるエメラルド鉱山の在りかをも聞き出したのです。1537年、ここにスペイン人が鉱山を開き、これが現在のチボール鉱山につながっていきます。またムゾー鉱山は、1564年、ムゾーの町でスペイン人が馬のひづめの下に光る緑の石の断片を見つけたことがきっかけとなり今日のムゾー鉱山が生まれたと云われています。

コロンビアのエメラルドは、青色を含まないその良質なすばらしい緑色によって他の産地のものと区別されます。ムゾー鉱山は、コロンビア最大の鉱山であるとともに、最高級のエメラルドを産出するという定評があります。緑色が濃いうえに柔らかい味わいがあります。コスケス鉱山のものは淡い緑色に特徴があります。チボール鉱山のものはムゾー鉱山のものと比較すると内包物は少なく透明度が高いです。緑色にやや青色味がかっているのも特徴です。他にガチャラ、ピナピスタ鉱山などが以前は良質なものを産出していたが、最近では産出されていません。

◆母岩:黒色、雲母、パイライト、方解石

◆内包物:三相内包物、黒色頁岩(コロンビアだけの特徴的内包物)、パイライト

写真1・三相内包物

ギザギザした輪郭の液体キャビティ中に
気泡と結晶を含む三相内包物

写真2・内包物

黒色の粒状で含まれる頁岩の内包物
 


写真3・トラピッチェ エメラルド

トラピッチェ エメラルド

◆吸収スペクトル:クロム/バナジウム関連の吸収バンド。トラピッチェは鉄関連の吸収バンドを見せる。

◆屈折率:低め(通常光1.570~1.584、異常光1.564~1.578)


ブラジル

<バイア州>

○カルナイーバ鉱区

写真4・バイア産エメラルド

バイア産エメラルド

1965年、バイア州のほぼ中央部を北から南に150kmに伸びるジャコビナ山地一帯に豊富なエメラルド鉱床が発見されました。たちまちエメラルド・ラッシュとなり、国中から無数のガリンペイロが押し寄せて一大鉱山町が出現しました。しかし、近年ではエメラルドの生産は大幅に減少しています。

○サリニンハ鉱区

1963年、バイア州サン・フランシスコ川流域にてサリニンハ鉱山が発見されました。

片麻岩と滑石片岩にレンズ状に貫入したペグマタイト脈にエメラルドが生成した鉱脈です。明るい黄色味を帯びた半透明の小さな結晶は良く粒が揃っていますが、結局わずかな量のみを産出したのみで鉱脈が枯渇しました。

サリニンハのエメラルドにはクロムが少なく、バナジウムによる着色であったためエメラルドではなくグリーンベリルと呼ぶべきだという論争を巻き起こしました。

<ゴイアス州>

○サンタ・テレジーニャ鉱区

1981年、ブラジルの首都ブラジリアから北西に230km程のゴイアス州のサンタ・テレジーニャにエメラルド鉱山が発見されました。

結晶は平均して1cm未満と小さいのですが、1立方メートル当たり11カラットと高品位です。 また他のゴイアスのエメラルドと比べるとクリーンな透明な結晶が多いと言われます。

サンタ・テレジーニャ鉱山はキャッツ・アイやスターといった効果を示すエメラルドの産出が多いことが特徴です。キャッツ・アイ・エメラルドは他にも報告がありますが、スター・エメラルドは大変稀で、サンタ・テレジーニャの特産です。

写真5・カルサイト内包物

マッチ箱を少し潰したような結晶の
カルサイト内包物

◆母岩:炭酸塩、滑石、金雲母の片岩

◆内包物:ピコタイト、カルサイト、滑石、パイライト、磁硫鉄鉱、黄銅鉱など

◆吸収スペクトル:クロム/バナジウム関連の吸収バンドと鉄関連の吸収バンドを見せる。

◆屈折率:低め(通常光1.588~1.600、異常光1.580~1.590)


<ミナス・ジェライス州>

ブラジルの宝石や金属資源の宝庫として知られているミナス・ジェライス州では1979年に州都ベロオリゾンテから東に100km程のベルモントでエメラルドが発見されました。

 写真6・イタビラ産エメラルド

イタビラ産エメラルド

○ベルモント鉱山

◆最も機械化が進んでいる同州では現在一番の鉱山

◆品質:小粒であるが高品質

◆母岩:雲母片岩で結晶を回収し易い。

○イタビラ鉱山

◆古い鉱山で現在でも原始的な方法で採集している。

◆品質:色は暗いものが多いが、中には上質のものもある。

◆母岩:雲母片岩に炭酸塩岩、滑石が含まれているため非常に硬く、結晶が回収し難い。

(つづく)

【GYOHO 質屋業報 2006年10月号 より転載】

平成18年宝石学会「Be サファイア」

2005年末頃から、天然ブルーサファイアが“新技法加熱処理が施された”ブルーサファイアとしてタイのマーケットにはいってきました。すぐさま、それらのブルーサファイアはベリリウム(Be)拡散加熱処理であることが判明しましたが加熱方法自体、未だ明らかにはされておらず、軽元素が色にどのような影響を与えているのか、解明されてはいません。今回の宝石学会(日本)では、このBe拡散加熱処理が施されたブルーサファイアについて研究した結果を報告し、鑑別についての指針を述べさせて頂きました。以下にその内容を紹介します。

写真1

写真1 新技法処理が施されたブルーサファイア

今回、観察及び分析を行ったブルーサファイアは、1.5490ct、1.3745ct、1.3480ctの3ピースです(写真1)。これらすべてのサンプルについて、光学顕微鏡による拡大検査、紫外-可視分光光度計、赤外分光光度計、蛍光X線分析装置、LA-ICP-MS(レーザーアブレーション ICP 質量分析装置)による分析を行いました。


1 拡大検査で観察されるインクルージョンについて

写真2 通常の加熱処理サファイアに観察されるインクルージョン

写真2-a

写真2-a 白濁結晶(拡大倍率x45)

写真2-b

写真2-b ヘイローを伴う白濁結晶(x40)


写真2-c

写真2-c 途切れた針状結晶(x30)

拡大検査で観察されるインクルージョンには、大きくわけて通常の加熱処理のサファイアに観察されるものと、今回の“新技法加熱処理が施された”サファイアに特有のものがありました。
通常の加熱処理のサファイアにも観察されるインクルージョンとして、白濁結晶(写真2-a)、ヘイローを伴う
白濁結晶(写真2-b)、途切れた針状結晶(写真2-c)が観察されました。


写真3 今回観察した“新技法加熱処理が施された”ブルーサファイアに特有のインクルージョン

写真3-a

写真3-a リング状結晶包有物が
      十字に並んでいる状態

写真3-b

写真3-b くもの巣状のテクスチャー(x20)
 


今回検査した新技法加熱処理が施されたサファイアに特有のインクルージョンとして、ベーマイト起源であると思われるリング状結晶包有物が十文字に並んでいる状態(写真3-a)や、 くもの巣状のテクスチャー(写真3-b)が観察されました。 これらは、新技法加熱処理が施されたサファイア特有のものでありますので、これらのインクルージョンが発見されれば、Be拡散加熱処理が施されているのではないか?という注意をすることが可能です。

2 レーザートモグラフによる観察

写真4 今回観察したブルーサファイアに特有のレーザートモグラフ写真

写真4-a

写真4-a C軸方向から見える六角形状を
      した散乱像

写真4-b

写真4-b 三方晶系に規制された形で並んだ散乱像
 


写真4-c

写真4-c c 軸垂直方向からの散乱像
      (矢印はらせん状の散乱像を示す)

写真4-d

写真4-d つるまき状の散乱像
 


写真4-e

写真4-e 同心円状の散乱像

レーザートモグラフによる観察では、通常の加熱処理では見られないテクスチャーが観察されます。(写真4-a)はc軸方向から見える六角形状をした散乱像です。この六角形状をしたテクスチャーは何が起源なのかは現時点では明らかにされておりませんが、(写真4-b)のように三方晶系に規制された形で並んでいることもあります。c軸垂直方向から観察した(写真4-c)を見てもお分かりの通り、この六角形状のものは、ディスク(平板)状の形状をしていることがわかります。 写真4-cでは矢印で示した箇所に、らせん状の散乱像が観察されます。(写真4-d)のような、つるまき状の散乱像(これは転位起源であると思われます)や、(写真4-e)のような同心円状の散乱像も観察されます。
こういったレーザートモグラフ特有のテクスチャーが存在することは、この新技法加熱処理ブルーサファイアの看破にレーザートモグラフは非常に有効であると思われます。

3 LA-ICP-MSによるBeの分析結果について

LA-ICP-MSは固体試料にレーザーを照射し、極微小の領域を蒸発させ、その蒸気を質量分析することで、固体中の微量元素の濃度を求める装置です。現在ではコランダムのBe処理の看破を確実に行うには必須の装置です。レーザー装置(NEW WAVE社UP-213)とICP-MS(Agilent 7500a)を用いて、今回の試料を測定した結果、3つのサンプルから9.38~11.17ppmの濃度のベリリウム(Be)を検出しており、Be拡散加熱処理が施されたことは明白です。
Be拡散がどこまで進行しているのかを調べるために、このBe拡散加熱処理が行われたサファイアを二つに切断し、その切断面のBe濃度を測定しました(下図)。 この分析結果より、この処理されたサファイアは、キューレット付近で一番Be濃度が高く39.8ppmのBeが確認されており、一番濃度の低い中央部でも5.0ppm検出されていることから、長い時間加熱されたものであると推測されます。

図

以上の結果より、このようなBe拡散加熱処理が施されたブルーサファイアには特有のインクルージョン、特有なレーザートモグラフ像でのパターンが観察されるため、ある程度はそのインクルージョンないしはパターンでBe処理であるという疑いを立てることは可能です。しかし、それらインクルージョンないしはパターンが見られない可能性もあるので、Be拡散加熱処理が施されたブルーサファイアを確実に看破するためにはLA-ICP-MSによる分析が必須であると思われます。

以上

小売店様向け宝石の知識「アンティークジュエリー」

アンティークジュエリー・Antique Jewellery

アンティークジュエリーとは骨董装身具の意味である。ところでアンティークとは何なのか。ふつう、アンティークとは100年以上経っている、美術的価値のあるものいう。東京税関によると、製作から100年以上経過し、それを証明できれば古美術・骨董品と見なされ無関税の由である。しかし、実際のビジネスではそう厳密なことでなく、50年ぐらい前のものでもアンティークとする場合もあるようだ。海外の骨董市には、本物、お宝に混じって、ジャンク(がらくた)、リプロダクション(複製品)、フェイク(偽造品)イミテーション(模造品)セコハン(中古品)レトロ(懐古品)エステート(1940~50年代の資産品)など安物から高額物まで種種雑多に並べられている。ここでは価値のあるなしにかかわらず、「古き良きもの、昔ならではのもの、懐古趣味のもの」がごったに展示販売されている。有名な骨董品市としてはロンドンのアンティークマーケット(アンティークリアン〔古美術愛好家〕には絶対見逃せない骨董市)、パリの蚤の市(日曜日にパリ郊外に立つ骨董品・古物市)がある。とくにロンドンのアンティークマーケットは大規模で店舗数も多く、品揃えも豊富だ。そのほかアンティークリアンには見逃せないアンティークレーン、ストリート(骨董品横丁、骨董品街)がロンドン市内各所にある。

ロンドンではヴィクトリア&アルバート美術館は必見である。ヴィクトリア女王夫妻は、工業近代化のみならず文化発展も同時に進行させ、多くの美術品を残し黄金のヴィクトリア時代を築いた。ここから世界にアート&クラフト運動が広まった。当美術館の宝飾品は圧巻である。英国の古き良き時代の夢の作品が見られる。英国人はヴィクトリア朝時代の美術品に格段の誇りと敬意を払っている。ヴィクトリアン調建物に住み、家具、調度品、衣裳、宝飾品をヴィクトリア風に一式揃えて生活しているアンティークマニアもいるほどだ。

さてアンティークジュエリーをロンドン市内のマーケットで購入するときの心得と注意すべき点は次のようである。

(1)基本的な宝石の知識と鑑定眼、審美眼を常に養成しておく。

(2)旅行案内書には、ロンドンのアンティークストリートについて詳しく記述されているので下調べを十分にする。

(3)ロンドンは大英博物館やヴィクトリア&アルバート美術館、また美術専門店などに、アンティークジュエリーのコレクションがあるので、素晴らしい第一級の優れたジュエリーを予め鑑賞しておく。

(4)サザビーズやクリスティーズなどオークション会社はじめ、ジュエリー専門出版社の専門書や案内書を読んで、アンティークジュエリーについて事前によく勉強しておくことである。

アンティークジュエリーを用途別に見ると、リング、ブローチ、イヤリング、ペンダント、ブレスレット。その他時計、文房具、置物なども入る。材質については、ダイヤモンド、ルビー、サファイア、メノウやロッククリスタルなどの無機質宝石、それに真珠、さんご、象牙、鼈甲、琥珀、ジェットなどの有機質宝石、これらの天然素材にプラチナ、ゴールド、シルバーの貴金属との組合せである。この組合せが歴史的に見て正確適正であるか判断することである。古いものであるから、ジュエリー自体の石や材質に破損や消耗などの欠陥をチェックし、作品のコンディションの善し悪しを確認する。

しかしアンティークジュエリーが本物か、その善し悪しを的確に判断することはそう簡単ではない。長年の経験と場数を踏まなければそう簡単に見極めることは至難である。したがって大事なのは、相談できるアンティーク専門家を持つか、信頼できる専門店で購入するかである。購入目的をはっきりさせてから購入することも大切だ。自分用に日常的に使用するのが目的か、長期的にコレクションとして蒐集するのか。またカメオを目的に蒐集する、時代別に蒐集する、ブローチ中心に蒐集するとか、目的方針を決め計画をたててから蒐集実行に入ることである。アンティークジュエリーには、宝石のきらめきと謎めいたドラマチックなストーリーが秘められている。現代では再現不可能になってしまった精緻、巧みな技巧、独特な石づかいがある。アンティークジュエリーを現代のわれわれが手にするとき古き良き時代のゴージャスな夢の中にいざなうことができる。アンティークジュエリーをあなたの超お宝ジュエリーにするには用意周到な下調べ、準備心構えが必要だ。

「楽しいジュエリーセールス」
著者 早川 武俊

ワールドニュース

このワールドニュースを担当して、はや1年が経ちました。いつもご愛読ありがとうございます。
原油を発端とする資源の乱高下で地金にも影響が出ていましたが、原油の急落に伴い地金相場も安定してきたようです。とはいっても数年前と比較すれば、いまだに高止まり状態ではあります。ダイヤの原石も高くなっている昨今、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
今回は、イスラエルの新年とヨムキプールのため各トレーディング市場が動いていないため9月に開催された香港ジュエリーフェアのレポートです。

香港ジュエリーフェア

今年は空港近くの「Asia World-Expo」と、いつもの「コンベンションセンター」の2会場での開催となりました。来場者数も昨年比で約3%増の41,000人を超え、ますますの盛況ぶりです。
このフェアのすばらしさが世界的に認知されてきた結果なのでしょう。
出展社は昨年9月の1,852社から2,519社と激増し、国別来場者のトップ5は、1・中国・香港、2・アメリカ、3・台湾、4・日本、5・インドということでした(CMPジャパン調べ)。
来場者のトップが中国・香港というのはわかりますが、会場を見渡す限りではアメリカの方々が多数来場されているとは感じはなかったので2位がアメリカというのは意外な結果ではありました。しかしアメリカマーケットの需要は旺盛ということなのでしょう。
また日本からの来場者の様子は、購入目的というよりも世界が注目する香港の度量の大きさやトレンドを見に来たという感じでした。
個人的に感じたのは、業界の方々が中国・香港を工賃の安さだけという今までの捉え方ではなく、新しい加工技術への対応能力や生産力が向上した世界の工場としての役割を期待しているのではないかということです。実際、香港メーカーのブースで、イタリアのバイヤーが交渉していたり、アメリカのバイヤーが買い付けをしていたりと、デザイン、技術ともに認められてきているのを実感しました。事実、上記の数字が示すようにこのフェアの出展者、来場者ともに年々増加しています。この好循環が日本にも波及することを期待します。

[Asia World-Expo]
まずは今年から会場となった「AsiaWorld-Expo」へ。空港のそばの会場は、本会場より1日早いスタートです。
本会場に比べれば小さい会場ではありますが、それでもかなりの広さがありました。しかし、来場者は決して多いとはいえない状況でした。コンベンションセンターから送迎バスが出ているとはいえ、時間の無い中、往復に1時間というのは難しいのかもしれません。
最終日に近くなると、こちらの会場の出展者の中にはコンベンションセンターの方に来て商売している方々もいらっしゃいました。
来年に期待したいと思います。

[コンベンションセンター]
本会場となるコンベンションセンターは、ジュエリーショウだけではなく、さまざまな見本市が毎月行われています。一見帽子のひさしのような外観に見えますが、実は風水により金運が上がりますようにとの願いを込めて、「亀」の形を表しているのだそうです。一階から最上階まで世界最大のガラスが張られており、そのガラス越しの景色は素晴らしく、ぜひ夜景も見てみたいと思いました。
そして、ジュエリーショウ初日の受付はどこもかしこも人だらけで大変な混雑です。中国や台湾、韓国、日本などアジアはもちろん、アメリカ、インド、それに欧州など、世界中からの沢山のバイヤー達で会場は埋め尽くされていました。同僚が一度会場外に出た時など、戻ってくるまでに30分以上もかかってしまうほどでした。
会場の中はとにかく広くホール数だけで7つもあります。その全フロアが使用されていましたので、1日ではとても回りきれるものではありません。全部見るには、早足で3日かけてギリギリ見て回れるかどうかという感じで、本当に見応えがありました。その中でも一番賑わっていたのはホール1で、地元の香港のメーカーが多数出展しており、今やジュエリー業界の発展はこのホールからといってもいいくらいの混雑ぶりでした。ブース出展の順番待ちが多すぎるために今年から空港の方にも会場を設けたのでしょう。
余談ですが、あるブースに立ち寄りダイヤを検品している時、まるで大女優のような風格をもつインドネシア人の親娘が隣にやってきて、こちらに話かけてきました。その奥様いわく「50万ドル持ってきたのに、買いたい商品がぜんぜん無いわ!」とおもむろにバックの中のドルの札束(3束も)を見せられてしまいました。お金はあるところにはあるものですね。
また他のブースで、ある会社との商売上のやり取りが行き詰っていた時、偶然インド人の知人と再会しました。彼はその会社の社員で現在ドバイ駐在なのですが、香港支社が参加している関係でこちらに来ているとのこと。彼は、香港スタッフとの間に入り「問題は何なんだ?ヘルプできるなら俺がするぞ」と助け舟を出してくれたのはよかったのですが、あまりにも厳しい日本のマーケット用のオーダーを聞いた瞬間、彼は顔を曇らせ「スマン、それは難しい…」と。日本のマーケットは世界一厳しいのかもしれません。

まとめ

日本で感じる業界の雰囲気とは違い、まさにワールドワイドな仕事の一端を担っているのだなと感じるとともに、香港経済の力強さも感じました。香港島の中環を見回せば海沿いから山側まで続く細長い高層ビルが立ち並ぶ金融を始めとする香港経済の中心、またヴィクトリア湾を隔てた九龍の尖沙咀は喧騒に包まれた商業の街。あらゆる種類の企業や店が、新旧、高低と一緒くたに立ち並び、独特の雰囲気を作り上げているのです。この喧騒に包まれた街中で日々たくましく生活している人達に負けないよう頑張らなくてはと思いました。今後ともよろしく御願いいたします。


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