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ラボトピックス「レアストーンあれこれ」

レアストーンあれこれ

間中 裕二  

はじめに

今回は、宝石の鑑別に携わる者であれば常に紐解くであろうGems(R.Webster著)や宝石宝飾大辞典(近山 晶著)にも載っていない、宝石種としては普段あまり目にすることや耳にすることがない希少石を取り上げてご紹介してまいります。

天然バッデリーアイト

写真1

写真1

バッデリーアイト(Baddeleyite)は化学組成がZrO2(酸化ジルコニウム)であり、基本的な組成が同じである人造キュービックジルコニアの天然石のカウンターパートにあたります。
同じ組成であってもバッデリーアイトは単斜晶系に属し、一方の人造キュービックジルコニアはその名が示す通り等軸晶系に属するため、多形(同質異像)の関係にあたり鉱物学的には全く別種となります。
鑑別を行った石(写真1)は、わずかに緑味を帯びた褐色でさらに濃色のため、複屈折性はやっと確認される程度です。屈折率もオーバースケールであり通常の宝石学的手法には限界があります。この石を確実に鑑別するには元素分析やラマン分光といった機器分析が必要となります。

宝石学的な特徴

透明度・色 透明・(濃)帯緑褐色
形   状 ラウンドファンシーカット
重   量 1.006 ct
サ イ ズ 5.82×5.92×2.58 mm
屈 折 率 オーバースケール
比   重 6.02(静水法)

 

バッデリーアイトとキュービックジルコニアの比較

蛍光X線元素分析(EDXRF)

天然のバッデリーアイトは、主成分であるZrO2が97%程を占め、微量成分としてHf(ハフニウム)やTi(チタン)がわずかに検出される程度です。(チャート1
一方、現在流通しているほとんどの人造キュービックジルコニア(チャート2)にはZrO2の他に安定剤としてかなりの量(10mol%程)のY2O3(酸化イットリウム)が含まれるという特徴を持っています。この10mol%という量は高い秩序を持った等軸晶系の構造を安定させるためです。Y2O3が少なすぎると等軸晶系と正方晶系のものが2相存在してしまうため、Y2O3が少な過ぎるものは通常製造されません(多すぎても非秩序的になります)。従ってEDXRFによる分析は鑑別において非常に有効であると言えます。

チャート1 EDXRF・天然バッデリーアイト

チャート1 EDXRF・天然バッデリーアイト

チャート2 EDXRF・人造キュービックジルコニア

チャート2 EDXRF・人造キュービックジルコニア

ラマン分光データ

顕微ラマン分光分析(514nmレーザー励起)によるデータを見ても、その発光ピークは大きく違うため区別することができます。細く絞ったレーザー光を用いるこの方法では、メレサイズの石であっても検査が可能であるという利点があります。(チャート3・4

チャート3 ラマン・天然バッデリーアイト

チャート3 ラマン・天然バッデリーアイト

チャート4 ラマン・人造キュービックジルコニア

チャート4 ラマン・人造キュービックジルコニア

天然ポウドレッタイト

写真2

写真2

ポウドレッタイト(Poudretteite/KNa2B3Si12O30)は、淡いピンク色を示すきわめて稀なオースミライト(大隈石)グループに属する宝石種です(写真2)。この石はカナダ、ケベック州のモンサンチレール(Mont Saint-Hilaire)で発見され、名称はこの地区の採石場を所有するプードレット一族に因んで名付けられたものです(従って日本語で表記する場合プードレッタイトとしてもよい)。詳しい報告は、Gem & Gemology 2003年春号に発表されていますが、鑑別で遭遇することはめったにあることではないため、鑑別上の特徴を報告します。近年ミャンマーのモゴク地区でも発見されていて、当該石もモゴク産として入手したとのことです。

宝石学的な特徴

透明度・色 透明・淡ピンク色
形   状 ペアファンシーカット
重   量 0.152 ct
サ イ ズ 5.18×3.25×2.00 mm
屈 折 率 1.510 - 1.530
屈 折 性 一軸性(正)
比   重 2.53(静水法)
蛍   光 不活性
分 光 性 明瞭な吸収はない
拡大検査 管状包有物

  

赤外分光(FT-IR)

中赤外の分光では5249,3658,3583,2779(cm-1)に特徴的な吸収が見られます。(チャート5

チャート5 FT-IR・ポウドレッタイト

チャート5 FT-IR・ポウドレッタイト

ラマン分光

ラマン分光分析(514nmレーザー励起)によるデータでは316,427,489,551,1175(cm-1)に特徴的なピークが見られます。(チャート6

チャート6 ラマン・ポウドレッタイト

チャート6 ラマン・ポウドレッタイト

天然ユガワラライト

写真3

写真3

ユガワラライト(Yugawaralite/Ca2 [Al4Si12O32]・8H2O)は、その名が示すとおり、神奈川県の湯河原温泉(不動滝)で最初に発見されたゼオライト(沸石)に属する鉱物です。発見者は鉱物マニアの世界では有名な櫻井欽一氏で、記載されたのは1952年ですが戦前にはその存在に気づいていたようです。ユガワラライトは通常薄い板状の結晶形状を示すため、最初に鑑別したときには、この種のものまで研磨され宝石となることに驚きをおぼえました(写真3)。現在はインド産が稀に流通していますが、原産地の湯河原では天然記念物で採集禁止です。(当該石もインド産とのこと)
鑑別上の注意点は、屈折率も近いエピスティルバイト(Epistilbite)といった同じカルシウム系のゼオライトと混同しないことです。

宝石学的な特徴

透明度・色 透明・無色
形   状 エメラルドカット
重   量 0.162 ct
サ イ ズ 5.26×3.25×1.54 mm
屈 折 率 1.50 - 1.49
屈 折 性 二軸性(正)
比   重 2.28(静水法)実測
蛍   光 不活性
分 光 性 明瞭な吸収はない
拡大検査 目立つ包有物なし 通常液体包有物

  

赤外分光(FT-IR)

ゼオライトは結晶水を含む珪酸塩鉱物であるため、赤外部では大きな水の吸収帯が特徴的です。(チャート7

チャート7 FT-IR・ユガワラライト

チャート7 FT-IR・ユガワラライト

ラマン分光

ラマン分光分析(514nmレーザー励起)によるデータでは406,448,479に3本集まったピークおよび1131(cm-1)等に特徴的な発光が見られます。(チャート8

チャート8 ラマン・ユガワラライト

チャート8 ラマン・ユガワラライト

今回は、コレクターズストーンとしては名を知られていますが、一般にはほとんど遭遇することのない希少石を取り上げてみました。機会があればまた珍しい宝石種をご紹介したいと思います。

小売店様向け宝石の知識「アンティークジュエリー8」

アンティークジュエリー・Antique Jewellery 8

アンティークジュエリーは、宝飾品の中で骨董的価値のあるもの、一般に100年以上前に創られた美術的価値のあるものを指します。宝飾品は、人類発生とともにあり、古代から豊かな歴史があります。古代の宝飾品は、おもに支配者の威信を示す象徴、護符として使われました。また宗教とジュエリーのかかわりも大変に古く深いものがあります。

とくにキリスト教世界では聖遺物入れに代表される信仰の対象、教会への奉納品として、男女ともに身に着用され、魔力と威厳を帯びたものとなっていました。

ジュエリーは、あるときは繁栄を誇る王侯貴族の地位・権力の象徴を誇示するものとなりました。そのためにジュエリーは、おびただしい数の宝石がちりばめられ、権力者に所有され、着飾られたのです。そのデザインは特別仕様で豪壮に創られ、宝石の大きさや色や数で階級、家柄、職業を表わしていました。いっぽう王様や皇帝などの支配者は、臣下重臣にジュエリーをたびたび褒美や贈り物として下賜したのです。それが時代の変化によって、彼等にも栄枯盛衰があり、そのたびに換金されたり、ある時は借金の担保になったりもしました。

もともとジュエリーはオーダーメイドが基本でした。王族やマハラジャたちは、お抱えの宝飾職人に宝石素材を持ち込み、好みのスタイルにデザインしてもらい、時間と技術とぜいたくのすべてをかけてオーダーメイドし、宮廷で着飾ったのです。

最近の映画「マリー・アントワネットの首飾り事件」を観ると、ルイ王朝時代の宮廷御用宝石職人の様子が写し出されています。当時のジュエラーは、行商としてヴェルサイユ宮殿への出入りを許されていました。今では考えられないことですが、当時のジュエラーはジュエリーの行商をしていました。当時の宝石ビジネスの形態は、ジュエラーは自らの宝飾工房であるジュエリー加工ショップを自宅に所有し、そこから王侯貴族の邸宅を行商して廻ってジュエリーの注文を取るスタイルだったようです。その頃の宝石ビジネスの様子は、いまも当時の文献に残っているのでよく判っています。

ルイ王朝時代のジュエラーは、マルモットという小さな宝石箱に入れたジュエリーを背負い箱に詰めて、ヴェルサイユ宮殿やパリ市内の高級住宅街にある王族貴族の邸宅を塀越しに口上を述べながらジュエリーを売りこみに歩いていたようです。ヴェルサイユ宮殿の広大な庭を散歩していたマリー・アントワネットが、宝石商人の口上を耳にとめ、鉄柵の向こうから聞こえてくる流暢な口上を聞いて、どうしてもジュエリーが見たくなりました。彼女が、メレリオ・ディ・メレーの売り子を宮殿内に招き入れ、気に入ったジュエリーをオーダーしたことが文献にいまも残っています。当時の注文書が、創業1613年、ほぼ400年の歴史をもつパリ・ヴァンドーム広場にいまも店舗を構えるメレリオ・ディ・メレー宝飾店に現存しています。当店はアーカイブ・ジュエリー、グランドクラシック・ジュエリーをも取り扱う老舗宝飾店で、現存する最古の宝飾店といわれます。

一般にアンティークジュエリーとしての歴史が始まるのは18世紀後半からで、本格的なアンティークのはじまりは、イギリスのジョージアンの時代からといわれます。その後文化産業が華やかに花開いたヴィクトリアン時代、端正なエドワーディアン時代、曲線の美しいアール・ヌーヴォー時代、直線的なアール・デコ時代へと流行と様式が移り変わっていきました。アンティークジュエリーの価値は、使われている素材、ゴールド、ダイヤモンド、カラーストーンの大きさや希少性だけでなく、精緻な細工の出来栄えの素晴らしさやデザインのよさで決まります。現在の価値の尺度では到底測れない素晴らしさをもっています。

一方何でもそうですが、マンネリ化して同じようなデザインが長く続くとき、とくに機械生産で大量に同じようなものが続出するようになると、人々は同じものに辟易して「退屈だ」と必ず飽きてきます。いつの時代もマンネリデザインが続くと人々はうんざりしてくるようです。

ここに人々は芸術に新しい風を求めます。デザインの風向きが変わります。必ず革新というか変化を求められます。この芸術革新の新風がアール・ヌーヴォーであり、アール・デコです。次世代の新風アーツが登場してきます。

「楽しいジュエリーセールス」
著者 早川 武俊

ワールドニュース(2008.01)

あけましておめでとうございます。
昨年は、ご愛読ありがとうございました。今年もワールドニュースを宜しくお願いいたします。今年は、世界のダイヤモンドマーケットの買付け方法、買付け日記そして現地の観光情報も掲載したいと思います。
新春号にちなみましてダイヤモンドマーケットのお正月の過ごし方から…

イスラエルNewYear

ユダヤ教のお正月は、ユダヤ暦で第七の月の1日(旧約聖書ではこの地上ではじめての人であるアダムが創られた日がティシュリ月の1日)この日がユダヤの新年(ちなみに今は5767年)となります。今のカレンダーで見ますと、その時は収穫が済んだ秋の九月の下旬か十月の上旬でした。
旧約聖書に「主はモーセにおおせになった。イスラエルの人々に告げなさい。第七の月の1日は安息の日として守り、角笛を吹き鳴らして記念し、聖なる集会の日としなさい。あなたたちはいかなる仕事をしてはならない。燃やして主にささげるささげ物をたずさえなさい。」と書いてあります。この新年の日の食卓ではどこの家庭でも石榴が出され、スライスしたリンゴに蜂蜜をつけて食べます。
ヘブライ語では新年をロシュ・ハシャナ(ロシュ=頭、ハシャナ=その年)と言います。新年といえば1年に1度だけですが、ユダヤ暦では、このロシュ・ハシャナは1年の間になんと4回もやって来ます。その4つの新年には、「木々の新年」、「家畜などの動物の新年」、「王様たちの新年」、そして第七の月の1日からはじまる「人の新年」があります。この4つの新年では「ディン」と呼ばれる審判が行われ、新しくやって来る年のそれぞれの運命が決められます。そして、この「人の新年」には、天国では「命の本」「死の本」そして「どちらでもない本」の3冊の本が開かれます。その年の行いによって、誰がどの本の中に名前を記されるのか決まるので、ユダヤの人は新しい年に向かって家族や友人に一年の反省を告げ、一からの再スタートとなるのです。

M-レポート

Rounds 0.005 to 0.15 cts, D-J / pique, slow、 0.005 to 0.15 cts, D-J/VS+, mediocre movement、 1/5, across the board, slow、1/4-3/8, white / pique, mediocre demand、 1/4-3/4, D-J / VS+, good makes, good demand、3/4, white / pique, including goods for treatment, selling、 1-5 cts, white / pique, including goods for treatment, moving、 1-10 (mainly 2.50+) cts, D-M / SI1+, good makes, heavy demand against short supply

インドNewYear

インドのお正月は、国民の8割がヒンドゥー教ですから、お正月などの祝祭日は「ビクラマディティヤ」という太陰太陽暦の「ヒンドゥー暦」に従い、「Diwali=ディワリ」ということになりそうです。ディワリは元々、ヒンドゥー教の神様ヴィシュヌの化身である英雄ラーマが長年の追放から無事帰還したことを祝ったのが始まりで、女神ラクシュミ(富と幸運の神でヴィシュヌの妻)を迎えるお祭りです。ディワリはカーティック(西洋暦では10月or11月)と呼ばれる、満月から2週間後の「新月」の日に行われます。多くの会社や学校がお休みとなり、街にはきれいな飾りつけがされて、賑やかになります。サンスクリット語で「ランプの列」を意味するお祭りですから、家々は「ディヤ」という小さな素焼きの皿のランプ(ディヤは、素焼きの皿の中にギー(ミルクから作った油)またはマスタード・オイルを入れ、コットンで芯を作り、灯をともして使います。ろうそくの灯は風ですぐ消えてしまいますが、ディヤについた灯はなかなか消えない。)やろうそくの灯、またはイルミネーションで飾られ、建物はライトアップされて町中が光で華やかになります。暗闇がないようにするのです。
爆竹や花火なども上げられて、活気溢れるムードになります。そして迎えたディワリの日。新しい服で身を包み、”HAPPY DIWALI !!” とお互いに声をかけあいます。
女神ラクシュミはこの夜の12時に家々に訪れ、人々に金運を授けると言われているので、家の窓を少しだけ開けておきます。ディワリの準備は、家々では家中の壁の塗り替え(ホワイト・ウォッシュ)をしたり、大掃除をしたりするそうです。新しい服を用意し、お歳暮やお菓子を準備したりもします。お歳暮と言っても、お世話になった人だけではなく、近所の人にも配りますし、毎年いろいろとアイディアが必要で結構大変そうです。シルバーやゴールド、陶磁器などをプレゼントすることもあるそうです。また年賀状にあたる「ディワリ・カード」も配ります。そしてお祈りやお寺参りをし、親戚や友人の家を訪ねて、新年を祝います。

M-レポート

The Indian diamond market is closed for the most part for the Diwali and New Year’s holidays. Our next report from this center will be on November 29. We wish all our Indian readers a happy Diwali and a healthy New Year.

香港NewYear

香港はお正月が2度あります。一つは西暦の1月1日、もう一つは旧暦(農暦)の新年「初一」(1月1日)になります。西暦のお正月は欧米の儀式に習ったものであり、あまり重視されないのに対して旧暦のお正月は中国人にとって1年で一番大事な行事です。
日本の風習とおなじように、大晦日までに大掃除をして、お正月を迎えるお飾りや食事(年ゴウというこちらのお餅(年年高、毎年よくなるの意味がある)や大根餅、揚げ餃子、瓜子、糖果など)の用意で街はあわただしくなります。日本以上に家族で過ごすことが大切にされています。こちらのお飾りは赤と金の華やかなもの。毎年お正月2日目には花火大会もおこなわれます。お正月の前になると、街中でお正月用のお花を抱えている人を見かけるようになります。花市も開かれ、水仙(運が良くなる)、グラジオラス(正月に開くと縁起がいい)、金柑・牡丹(お金が儲かる)、桃の花(異性運の向上)に猫やなぎなど縁起がいいとされるお花がズラリとならびます。街中いたるところでみかける金柑。香港のお正月の一番ポピュラーな挨拶は「恭喜發財(クンフェイファッチョイ)!」。これも直訳すると「儲かりますように」ってこと。なかなかストレートな人たちです・・・(ちなみに中国大陸では旧正月にも「新年快楽」「新年好」という一般的な「あけましておめでとう」という挨拶を耳にすることも多い)。香港では元日には掃除をしない、髪を洗わないなどとも言われているそうで、理由は「お金や福を流して(掃きだして)しまうから」だとか。

M-レポート

0.005 to 0.15 cts, white / SI2 to pique, mediocre demand、0.005 to 0.15 cts, D-J / SI1+, good makes, selling、1/5, across the board, slow、1/4-3/4, white / pique, good demand、1/4-3/4, D-J / VS+, good makes, selling、1-5 cts, white / pique, good demand、in spite of the relatively show US market、1-10 (mainly 3.00+cts), D to cape / SI+, good makes, heavy demand, with noted pressure on prices


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